仏教は世界的に見ると、勢力は弱い

日本の仏教は修行に甘い大乗仏教ですが、一般人は「家族や家を持たず全てのものを捨て去って修行している僧侶が偉い」という仏教本来の出家観を、ある程度維持しています。

今の僧侶たちは結婚して家族を持ち、ものを捨てず、現実社会にどっぷりと浸かっています。経典に書かれ一般の日本人のイメージの中にもある「正しい僧侶の在り方」と大きなギャップがあります。このギャップが、日本人の社会を見る視点を独特のものにしています。

仏教は世界の三大宗教の一つに数えられていますが、実際の勢力は微弱です。ウィキペディアによるとキリスト教の信者数が20億人、イスラム教が16億人に対して、仏教は4億人です。それも日本以外は、東南アジア諸国・チベット・モンゴルなどの弱小国に普及しているだけです。

インドでは1200年頃にイスラム教徒が僧侶を大虐殺したため、仏教が消滅しました。支那や朝鮮では、日本が遣唐使を派遣していた唐代には仏教が栄えていましたが、10世紀の唐末になると急激に衰退しました。今でも形だけは仏教が残っていてわずかな信者がいますが、道教などと習合していて実質的に別の宗教になっています。

14世紀の明末や18~19世紀の清の時代に白蓮教を信奉する秘密結社が反乱を盛んに起こしていました。一般的には白蓮教は仏教の一派だと考えられていますが、実際はペルシャ渡来のマニ教と習合したもので、仏教の考え方はあまり入っていません。

最近支那政府は、宗教団体を警戒して監視を強めています。カトリックの司教はローマ教皇が指名するのが普通ですが、支那政府は支那人カトリック信者を統制しようとして司教の任命権を教皇から取り上げようとしています。また法輪功という道教系の宗教団体を禁止しています。しかし仏教団体は勢力が弱いので、特に警戒していません。

このように仏教の勢力は世界的に見て弱く、世界の主要国の政治経済・文化に与える影響が極めて限られています。日本人が主要国の中で特異な性格を持っているのは、日本人だけが大乗仏教の影響を受けているからです。

以下はひと続きのシリーズです。

11月19日 キリスト教・神道と仏教は目的が正反対

11月20日 若いときに出家するという習慣は、仏教から始まった

11月21日 おしゃか様の出家生活は、すさまじかった

11月22日 出家は、もともとは家も友人も持たない厳しいもの

11月23日 仏教は世界的に見ると、勢力は弱い

11月24日 今の日本の社会問題の多くは、神道と仏教の使い分け原則が崩れたことに原因がある

11月25日 FreedomとEqualityの訳語に仏教用語を使ったために、使い分けの伝統が崩れた

11月26日 神道と仏教との使い分けが崩れたために、「国家は悪いことをする」という考えが広まった

11月27日 仏教は、無理してものを捨てなくても良い、と教義を次第に甘くしていった

11月28日 仏教は、欲望を抑えきれない凡人が戦争を起こす、と考える

11月29日 権力を監視するのが憲法の役割、という考え方をマスコミは悪用した

11月30日 憲法に違反することが出来るのは、国家だけ

12月1日 欧米には、国家を監視しなければならない、という発想がある

12月2日 欧米人が考えていたのは、「国家は悪いことをする」ではなく、「権力者は悪いことをする」

12月3日 マスコミは、「国家は悪いことをする」と思い込んでいる

12月4日 マスコミが権力を監視することは非合法であり、不要である

12月5日 地下鉄サリン事件やテロ事件によって、テロ等準備罪の必要性が高まった

12月6日 「国家は悪いことをする」と思い込んだ者たちは、テロ等準備罪に反対した

12月7日 「国家は悪いことをする」という発想が「安倍政治を許さない」を生んだ

12月8日 「国家は悪いことをする」と思い込んでいる者も、一種の愛国者

12月9日 刑事事件の被告は、国家権力からいじめられている者

12月10日 支那や朝鮮が行った残虐行為に言及しない

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