日本の敗戦後に、朝鮮の政府は反日を原則としましたが、現実にはその建前で通せませんでした。北朝鮮の実態はよく分からないので、南朝鮮に限定して話をしますが、当初から親日派をどのように扱うのか、大きな論争が続きました。なお、南朝鮮で「親日派」というのは、「日本に親しい感情を持っている」という意味ではありません。日本の統治政策に協力してきた者たちを言います。
北も南も、日本の敗戦後に政権を掌握した者は、朝鮮国内で活動していたわけではなく外国に居て、後から占領軍にくっついて朝鮮に入っただけの者たちでした。金日成はソ連軍の将校で朝鮮語もろくに話せませんでした。李承晩はアメリカで反日論を話していただけでした。
一般の朝鮮人は彼らが朝鮮では何もしなかったことを知っていたので、李承晩も「果敢な反日活動をした」とは言いましたが、「南朝鮮の独立は自らが戦いとったものだ」とは、言いませんでした。
日本の敗戦まで実質的に朝鮮を運営していたのは実務家である「親日派」だったので、彼らを使わないと国家が回っていきませんでした。従って独立からしばらくの間は、「日本帝国主義は過酷な弾圧と収奪を行った」と口で言っていただけです。このような状態は、軍人がクーデターで政権を掌握した間じゅう続きました。
南朝鮮の大統領のリストを下記しますが、臨時や短期間の者は省いています。
1948年 ~ 1960年 李承晩 もっぱらアメリカで日本の悪口を言っていた
1962年 ~ 1979年 朴正煕 軍人で日本の陸軍士官学校卒 クーデターで政権掌握
1980年 ~ 1988年 全斗煥 軍人 クーデターで政権掌握
1988年 ~ 1993年 盧泰愚 軍人 全斗煥の仲間
1993年 ~ 1998年 金泳三 文民
1998年 ~ 2003年 金大中 文民
2003年 ~ 2008年 盧武鉉 文民
2008年 ~ 2013年 李明博 文民
2013年 ~ 2016年 朴槿恵 文民 朴正煕の娘
2017年 ~ 文在寅 文民
以下はひと続きのシリーズです。
11月9日 敗戦後に、手のひらを返したように、朝鮮人は反日になった
11月12日 アメリカ軍は、朝鮮人が自立できないことを知っていた
11月13日 南朝鮮は、日本に逃げてきた済州島民の引き取りを拒否した
11月14日 毛沢東は、自分に反抗的な軍人を始末するために、朝鮮戦争に参戦した
11月15日 朝鮮戦争当時の指導者は、個人的な利益のために戦争をした
11月16日 アメリカの支配者は、朝鮮戦争に勝つことを望んでいなかった
11月19日 なぜ朝鮮人は反日なのか、専門家の意見を紹介する
11月21日 実務を行っていた「親日派」を弾圧するわけにはいかなかった
11月22日 軍人政権時代は、南朝鮮の独立は自らが勝ち取ったものではない、と分かっていた
11月23日 為政者を選挙で選んだからといって、先進国になれるわけではない
11月24日 朝鮮は、民主国家になる二つの条件の両方を欠いている
11月25日 朝鮮人は、朝鮮は世界の中心だ、と考えるようになった