尖閣の実効支配が大事

中国軍が日本に攻め込んできたため自衛隊が応戦した、という状況になっても、自動的にアメリカ軍が中国軍と戦うことにはなりません。日米安全保障条約の第5条には、「自国の憲法上の規定及び手続に従って、共通の危険に対処するように行動することを宣言する」となっています。

アメリカでは、戦争するか否かを決めるのは議会なので、議会が拒否したら戦争はできません。条文では「危険に対処する」となっているので、武器や食料を援助したり軍事情報を提供するだけということもありえます。菅首相はバイデン大統領から「尖閣諸島の防衛は日米安保の対象だ」と言われて喜びましたが、これは質問する相手を間違っているのです。

よく言われるのは、「アメリカは、名も知らぬ無人島の防衛のために自国の若者の血を流すと思っているのか」ということです。確かにこれはおかしいです。その一方で、アメリカが軍事同盟を結んでいる国を見捨てたら、アメリカは世界中の信用を失います。従って、実際にその時がくるまでは、どっちになるか分かりません。

法律の解釈に無理を重ねて日本は何とか尖閣を守ろうとしていますが、このようにかなり頼りない状態です。その根本の原因は、日本国憲法にあります。

外務省は中国に譲歩し続けて今の事態を招いてしまいましたが、その原因も日本国憲法にあります。この前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。外務省は、この記載通りの外交を中国とやっているわけで、何ともいいようのない気分になります。

沖縄を守るには、日本国憲法をなんとかしなければなりませんが、このことは別の機会に論じることにします。当面日本がしなければならないのは、尖閣諸島を実効支配し続けることです。

海上保安庁と海上自衛隊の活動を強化する以外にもできることがあります。例えば、尖閣諸島の字名を変更するのも実効支配をしていることになります。石垣市議会は、字名を登野城から尖閣に変更しようとしましたが、中国に忖度する政府から圧力がかかってできませんでした。

尖閣諸島周辺で漁業を続けるのも、尖閣を日本が実効支配している根拠になります。ところが近年は、海上保安庁が中国に忖度して、日本人が漁をすることを禁止しています。政府自体が実効支配することを阻止しているのです。このようなことを止めさせなければなりません。

尖閣諸島の天気予報をする、灯台を作る、島にいる野生動物の実態調査をする、尖閣防衛のために日米共同訓練をする、などの方法も考えられます。

海警法が国際法に違反していることを世界中に訴えるというのも良い方法だと思います。その際に、中国がウイグルでジェノサイドを行っていることもセットにして主張すれば、効果的だと思います。とにかく、考えられる限りのあらゆる方法で、実効支配をすることです。

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