中国の海警局はもともと、日本の海上保安庁に相当する海の警察でした。しかし2018年に、人民武装警察の指揮下に入り、平時は警察業務を行いますが、戦争になったら戦闘も行うということになりました。この段階で海警局は、準軍隊になったわけです。
2021年2月に、中国は海警法を施行しました。これにより、海警局の船舶は世界中の海のどこででも無警告で他国の船を攻撃できることになりました。条文には「管轄下の海域で」と書いていますが、どこが管轄かは書いていません。だから海警局が勝手に管轄内だと判断したら、どこででも大砲やミサイルを撃てるのです。
これに対して日本の海上保安庁は軍隊ではなく、領海を守るのが任務ではありません。漁業法など具体的な法律違反を取り締まるだけなのです。従って、日本の海上保安庁は、海警局の船舶に比べて法律の面ですでにハンディを背負っています。
海上保安庁が保有している船舶は最大でも7000トンで、保有する船舶を合わせると15万トンになります。ところが海警局は全部で50万トンを所有し、最大の船は12000トンです。これは古くなった軍艦を白く塗り替えただけのようです。
そこで、海上保安庁が任務遂行を海上自衛隊に委託する、ということを政府は考えているようです。自衛隊を下請けに使って犯罪の取り締まりをするわけです。自衛艦が行うのは戦闘行為ではなくあくまで警察行為なので、憲法9条に抵触しないというわけです。
さらに、尖閣諸島に中国側が上陸する行為は重大凶悪犯だから逮捕のためには武器を使用しても良い、という新しい法解釈を政府はしました。海警局の船舶に自衛艦がぶっ放しても構わないということです。
中国側が怒って海軍の軍艦で日本の領海に攻めてきたら、まずは自衛隊が戦うことになります。日米安保条約はまずは日本が戦っていることが発効条件だからです。海警局の船舶と海上保安庁の下請けとしての自衛艦がやりあっている段階では、安保条約を適用することはできません。
以下はひと続きのシリーズです。