中国は海警法を制定し、2月1日から施行しています。この法律は、中国が勝手に自国の領海だと判断した海域では、中国の海警局の船が外国船を武器で攻撃しても良い、という内容で、国際法を無視したとんでもない法律です。
この法律の制定によって尖閣諸島周辺に対する中国海警局の艦船の領海侵犯がますます露骨になるでしょう。しかし中国が海警法を制定したのは尖閣を奪うことが目的というよりは、沖縄全体を日本から奪う中国共産党の計画の第一章だと、私は理解しています。
地球儀を見れば分かる通り、アジアの東端は、樺太島・日本列島・台湾・フィリピン・インドネシア・マレーシアが断続して8000キロにわたって連なっており、それより東が東シナ海と南シナ海です。そしてどちらも水深が200メートル以下で浅いのです。水深が浅いと、潜水艦は敵に発見されずに潜航して移動できません。
つまり、中国の海軍は樺太からマレーシアにいたる8000キロの海の長城によって蓋をされ、外洋に出ることができないのです。だから中国は沖縄と台湾を自国の領土にして海の長城に穴をあけ、外洋に進出しようとしているわけです。中国が海警法を施行した意味は、中国は沖縄全体を奪おうとしている、という視点から考えなければならない、ということです。
沖縄は中国にとって戦略上きわめて重要ですが、これはアメリカも同じで、沖縄の米軍基地を絶対に手放そうとしはしません。
戦前は、沖縄が日本の端っこではありませんでした。台湾が日本領だったし、南洋諸島も信託統治していました。そのために、日本軍が沖縄に領土防衛のために軍隊を駐屯させる必要がありませんでした。戦前の沖縄には、アメリカ軍はおろか日本軍もいなかったのです。
敗戦後にアメリカが沖縄の重要性に注目して27年間も占領を続け、沖縄の本土復帰後も基地を置いています。一方中国は、沖縄からアメリカ軍を追い出そうとしています。そのために、アメリカが沖縄を占領している間は沖縄を日本に復帰させようとしました。沖縄が返還されたらアメリカ軍は撤退すると考えたからです。
ところが返還後もアメリカ軍が沖縄に居座っているのを見て、今度は沖縄を日本から引き離して自国の領土にすることによって、アメリカ軍を追い出そうと、方針を変更しました。このように沖縄は、アメリカと中国の思惑によって、不安定な状態になっています。
以下はひと続きのシリーズです。