中国で起きているのは、革命ではなく権力闘争

9月30日、中央紀律委員会(共産党員の規律違反を取り締まる部署)は、孫力軍を共産党から除名した、と発表しました。彼は公安部副部長だったのですが昨年4月に失脚し、「重大な規律違反と違法行為」の疑いで取り調べられていました。公安部副部長だったということは、彼はスパイのボスだったということです。

彼が共産党から除名された理由は、「「個人的な力を伸ばし利益集団を形成した」「政治の安全に重大な危害を加えた」という曖昧なものです。また、「ウイルス問題で機密資料を持ち出した」とも説明されています。

共産党幹部があいまいな理由で除名されるのは、クーデターや要人暗殺を企んだ場合が多いので、彼もそのようなことをしようとしたのではないか、と考えられています。

孫力軍はもともと曽慶紅の子分で江沢民派です。香港の民主化弾圧で活躍したので、習近平に気に入られました。彼はオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学で公衆衛生を学んでおり、妻はオーストラリア在住です。

ウイルス問題が起きた時に、公衆衛生の知識があることから彼は武漢に派遣されました。その時に手に入れた機密文書を、オーストラリアの妻に送ったところ、それをオーストラリアの情報当局が入手したらしいのです。オーストラリアがパンデミックに関して中国に強硬なのは、これが原因かもしれません。

このように、江沢民派が習近平を暗殺したりクーデターを起こそうとした形跡もあり、両派の権力闘争はどんどん過激になっています。

習近平は、毛沢東をまねして第二の文化大革命を行い、ライバルを粉砕しようとしています。しかし、始めた直後に敵からも身内の大番頭からも大きな抵抗を受けています。この先、第二の文化大革命がどこに行くのかは分かりませんが、今後も情報収集に努めて、中国の行く末を見届けようと思っています。

この分析の際には、闘争をやっている当人たちが、社会主義の理想を目指しているのだ、などという学生気分の抜けない発想で考えてはなりません。彼らは、死ぬか生きるかの権力闘争をしている、という事実を忘れないことが大事だと思います。

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