習近平思想の徹底

英語の学習を禁止すれば、中国人は外の世界を知ることが出来ず、中国を客観的に理解できなくなって、共産党政府の宣伝をそのまま信じてしまいます。習近平政権は、英語の学習を禁止するという洗脳の準備をしたうえで、「習近平思想」の普及を始めました。

4年前の2017年の党大会で、習近平は「新時代の中国の特色ある社会主義」について演説をしました。やがてこの思想は頭に習近平をつけて、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義」と呼ばれるようになりました。「習近平思想」とはこれのことです。

そして今年の9月の新学期から、子供たちに習近平思想を教えることになりました。子供用の教科書は「愛国」「中華民族の偉大な復興」などが書かれていますが、その基にあるのは、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義」です。

「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義」を簡単に説明すると、「站起来、富起来、強起来!」という中国共産党の歴史の説明です。
「站起来」とは、毛沢東が立ち上がって、それまで列強の半植民地だった中国を独立させた、という意味です
「富起来」とは、鄧小平が改革開放路線を始めて、中国が豊かになった、という意味です
「強起来」とは、習近平が、新たに中国を経済強国・軍事強国にする、という意味です。

習近平は、毛沢東・鄧小平という偉大な指導者の跡を継いで、中国を世界一の強国にする最も偉大な指導者なのです。このように習近平思想は、彼を神格化する思想です。

中国共産党の最高指導者は、①毛沢東 ― ②鄧小平 ― ③江沢民 ― ④胡錦涛 ― ⑤習近平と全部で5人います。ところが習近平思想の「站起来、富起来、強起来!」は3人しか触れていません。

江沢民は13年間、胡錦涛は10年間最高指導者でした。習近平はこの二人の業績を無視しています。そして習近平は前任者の時代にはびこった腐敗撲滅を行っています。つまり、習近平は、江沢民・胡錦涛の時代を腐敗の時代としているのです。

結局、「習近平は、中国を世界最強の国にし、江沢民派や胡錦涛派の腐敗幹部を一掃する。彼は毛沢東や鄧小平と並ぶ偉大な指導者だ」と主張しているのが、習近平思想です。そしてこの思想を学校の必修科目にして、子供たちを洗脳しようとしています。

習近平政権は、江沢民・胡錦涛を無視して、「習近平は毛沢東や鄧小平と並ぶ偉大な指導者だ」という歴史的評価を、「歴史決議」という共産党の公式な文書に記載して、彼の権威を高めようとしました。しかし、江沢民派や胡錦涛派の反対が激しく、この企ては失敗しました。

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