中国で起きていることを整理してみる

中国から、様々なニュースが伝わってきています。習近平政権が社会の統制を強化しているというニュース、権力闘争に関するニュース、経済が悪化しているというニュース、中国が相変わらず強硬な外交を行っているというニュース、などです。

これらの動きは、互いに因となり果となって密接に連動しています。中国が対外的に強引なことをやったので、諸外国から経済制裁を食らい、自然災害やパンデミックの再流行と合わさって経済が悪化しました。その結果、失業者が増え社会不安が高まっているので、習近平政権は社会の統制を強化しています。

経済の悪化により、権力闘争も激しくなっています。アリババなどの巨大IT企業は習近平に対立している江沢民派に属しているので、習近平政権はこれらのIT企業の事業を妨害して江沢民派の資金源を断とうとしています。恒大集団などの巨大不動産会社も江沢民派なので、その苦境に対して冷淡です。その結果、中国経済はますます悪くなっています。

習近平は毛沢東と並ぶ偉大な指導者だということを、習近平政権は国民の頭にすり込む洗脳教育を始めました。これは社会不安を抑えるための統制強化策ですが、同時に政敵をやっつけるためのものでもあります。偉大な習近平指導者に逆らう者たちを、「中国人の敵」にすることが出来るからです。

このように、中国情勢はいまどんどん複雑になり、権力争いが激しくなっています。習近平政権が反対派を抑え込み社会を統制することに成功したら、中国は安定するでしょう。しかしそれに失敗したら、中国は大混乱に陥り、日本もその影響を受けるでしょう。習近平政権が国民の支持を得て権力闘争に勝つために、台湾や沖縄に攻め込むなどの対外戦争を起こすかもしれません。

これから中国はどんどん騒がしくなり、情勢が複雑になっていきます。いま中国で何が起きているのかを整理しておけば、今後起きることを理解しやすくなると思うので、これをやってみようと思います。

中国は実質的には、社会主義国家ではなく、古代からの王朝の伝統を受け継いだ体制になっています。だから、習近平政権がその政策を社会主義の言葉を使って説明しても、それを真に受けるべきではありません。格差是正の政策を採っても、それは貧しい庶民の嫉妬心を煽って、彼らを味方につけようとしているのであって、本気になって社会主義を実現しようと考えているわけではありません。

習近平政権はいま、巨大IT企業を次々に締め付けていますが、これは社会主義的な発想から巨大企業を敵視しているわけではありません。そのグローバルでアナーキーな性格を変えて、共産党に従順な中国的な企業に変えようとしるだけです。

世界最大のオンライン通販会社であるアリババは、4月に独占禁止法違反で182億元(3000億円弱)の罰金を課せられました。アリババは昨年、ネットで50兆円以上の商品を売りさばきました。

8月の初めに、国営新華社系列の経済参考報は、「中国の約半分の児童や青少年は視力が低下し、オンラインゲームは未成年者に悪影響を及ぼしている。人々は、オンラインゲームを精神的アヘン、電子ドラッグなどと呼んでいる」と述べました。

この報道のために、大手オンラインゲーム配信会社であるテンセント(騰訊)の株価が1日で1割以上下がりました。さらに政府は、テンセントが音楽配信会社を5年前に買収したことを独占禁止法違反と判定し、罰金を課しました。テンセントの株価は、年初のピークから4割下がっています。

配車アプリの会社であるディディ(滴滴出行)は6月30日、ニューヨーク証券取引所に上場しました。終値で計算した時価総額は約670億ドル(約7兆3700億円)を超えました。ところが、その4日後の7月4日に中国当局は、個人情報の収集や利用に重大な違反があるとして、ディディのアプリのダウンロード停止を命じました。このため株価は大暴落し、今現在の株価は上場時の約4割です。

これらの中国政府の規制は、みんないいがかりです。アリババの独禁法違反は昔からのことで、今まで取り締まらなかったほうが問題です。ゲームが子供に悪いのも昔からのことです。ディディのアプリが個人情報の収集に問題があるのなら、ニューヨークに上場する前に注意すべきです。

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