IT企業いじめの理由

中国共産党は、いままで法律をベェンチャー企業にはわざと適用せずに放置していました。無法状態の中でベンチャー企業同士が競争をした結果、イノヴェーションが起こり、経済が活性化しました。このことは、以前のブログで書きました。そして今になって、これらの企業に対して、法を厳格に適用して、法律違反で摘発し始めたわけです。

中国共産党政府が巨大IT産業を締め付けているのには、いくつかの理由があります。その一つは、中国共産党上層部の派閥争いです。今の共産党には、大きく分けて習近平派と江沢民派の2つの派閥があります。

江沢民は鄧小平の子分で、開放経済を推進しました。その関係で多くのIT企業の創業者は江沢民派に属し、彼らの資金源になっています。一方の習近平は毛沢東を崇拝し、何よりも権力を望み、中国の皇帝になることを目指しています。習近平は江沢民派の勢力を削ぐために、その資金源であるIT企業の創業者たちを締め付けているわけです。

習近平派としては、国全体が貧しくなっても、自分たちが安全で豊かな生活を送ることができれば、それで良いのです。中国人が互いに助け合うのは、男系の先祖を同じくする一族の間だけで、他人はどうでもよいのです。

血縁関係になくても同じ国民どうしが助け合おうという考えから、誠やFreedomが生まれました。中国人にはこの発想がないので、Freedomは絶対に育ちません。中国人はFreedomや誠に基づいた資本主義経済は作れないのです。

習近平は、毛沢東を崇拝し、独裁者になることを目指しています。独裁は社会主義の発想ですが中国の伝統的な発想でもあります。統制を強化しようという気持ちから、今まで厳格な法の適用をしてこなかったIT企業にも厳しく法を適用すべきだと考えるようになりました。これも、IT企業締め付けの一つの原因です。

巨大IT企業がニューヨーク市場に上場すれば、これらの企業はアメリカによって規制されることになり、共産党の支配から離脱していきます。そこで海外への上場を邪魔して企業の鎖国を行い、共産党に忠実な企業にしようと考えています。

IT企業が成長してきたので、創業者を追い出して共産党が支配を強化して、自分たちの資金源にしようと考えたことも、共産党政府がIT企業を締め付けているもう一つの理由です。

中国では、共産党がすべてを指導する、と考えます。省長よりもその省の共産党のボスの方が偉いのです。これと同じで、企業の中では社長より共産党から派遣された取締役の方が偉いです。企業に共産党の幹部を取締役として送り込めば、その企業を国有化しなくても支配することが出来ます。そのために共産党政府はIT企業を締め付けているわけです。

中国は西側諸国から経済的に排除されつつあるので、経済を鎖国化して、国内だけで経済を回していくという「国内大循環」の政策を推進しています。これの邪魔になるのが、グローバル化した巨大IT企業です。そこで、これらのIT企業を締め付けて、共産党の統制下に置こうとしているわけです。

これらの巨大IT企業は江沢民派なので、その資金源を断つというのも習近平政権は狙っています。さらに、これらのIT長者や江沢民派の幹部から財産を巻き上げようとも考えています。

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