共同裕福政策を強行

8月17日に習近平は、共同富裕に関して演説をして、一次分配・二次分配・三次分配を言い出しました。

一次配分は、各人が働いたり株に投資したりして稼いだ収入のことです。これは格差が非常に大きいものですが、政府はこれらの収入に対して累進課税をしたり、年収が少ない者には様々な補助をしたりして、所得の格差を縮小させます。これが二次配分です。

それでもまだ、大きな格差が残ります。そこで富める者が自発的に寄付活動を行ってさらに格差を縮めるべきだ、と習近平は主張したのです。これが三次配分です。三次分配は強制ではなく自発的なものなので、これを現実に行うには、金持ちは高い精神性を持たなくてはなりません。そこで習近平は、共同富裕実現のために、国民に対して高い精神性を持つように訴えました。

偉大なる習近平が「高い精神性」を呼びかけているのに、寄付に応じなかった金持ちは、どうなるでしょう。当然ながら、「ブルジョワ的な腐敗した精神を持っている」と非難されることになります。さらにこの演説の中で習近平は、「大企業であるほど、社会に返すようにしなければならない」と言っています。

この習近平の演説にIT企業の創設者たちは、震えあがりました。アリババの創設者であるジャック・マーは、1000億元(1.7兆円)を共同富裕実現のために投資すると発表しました。テンセントも500億元(約8500億円)を拠出しました。他にも自社株を従業員に配分する企業も出てきました。

三次分配の寄付行為は、自主的に行うものだと習近平は言っていますが、そのことをまじめに信じている人はいないと思います。実際に多くのIT企業はパニックを起こして、巨額の基金を拠出しています。

浙江省や江蘇省の都市では、市の幹部たちが市民に、毎月自分の収入の一日分を寄付するように呼び掛けています。寄付したお金は共産党に集まり、それを貧しい人に配分することになります。いま中国は、パンデミックや西側諸国との関係悪化で経済が苦しくなっているので、実際に貧しい人にいくらかは分配するでしょう。そうして彼らを味方につけて、権力闘争に勝ち抜こうとするでしょう。

しかし、寄付金のかなりの部分は、習近平派の幹部のポケットに入るのではないでしょうか。共同富裕は、江沢民派のたくわえを習近平派が横取りする、という意味もあります。

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