成文憲法が無い状態は、イギリスと同じ

いま唱えられている日本国憲法無効説は、どれも理論的に少し無理があります。それも当然で、もともと無効な憲法をあたかも成立していたかのように扱って長い間放置していたので、法的な状態がどんどん歪んでいるからです。しかし、日本国憲法無効説に無理があるからと言って、無効な憲法が有効になるというものでもありません。

私は、今の状態を素直に認識すれば良い、と思っています。日本国憲法など成立していません。大日本帝国憲法は、日本が戦争に負けた時に消滅しました。そういった中でも、選挙によって選ばれた国会議員によって法律は制定されているし、裁判所や内閣も自分の仕事を行って、それに疑問を持っていません。

つまり、成文憲法典はなくても、日本人が存在すると信じ込んでいる憲法秩序が存在しているということです。これはイギリスと同じです。イギリスには成文憲法典はありませんが、国民があると信じ込んでいる憲法秩序があります。

それは、国王と貴族が締結した契約書、国王が新しく就任するときに国民に約束した言葉、国会が制定した国会法や裁判所法などといった制定法などから成り立っています。国会法や裁判所法などという重要な法律も、他の法律と同じように、国会議員の過半数の賛同で変更できます。

国会議員の2/3以上の賛同や国民投票は要求されていません。重要な法律だからそれ化け真剣に検討しなければならない、というだけのことです。

日本にも、古くからの天皇という制度があり、明治時代から国会・内閣・裁判所という制度があります。こういった、国民が大事だと信じている制度が憲法制度なのです。国会で制定された法律を変更したかったら、議員の過半数の賛同を得て変更したら良いだけの話です。自衛隊を規定している自衛隊法を変えたいのなら、国会の過半数の賛同で変えれば良いだけの話です。

日本の歴史の中で、成文憲法典が存在したのは、明治23年から昭和20年までの55年間だけで、あとは成文憲法典など存在しませんでした。それでも国は機能し続けたのです。成文憲法典がない状態を、恐れることはないのです。

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