日本国憲法ができた、という実感を誰も持っていない

「国民の多くが、日本国憲法は成立した」と思い込んだのかどうか、という視点で日本国憲法を見てみようと思います。言い方を変えれば、「日本国憲法を作った憲法制定権力は、何だったのか」ということです。

日本はアメリカとの戦争に負けて、1945年の8月に降伏し、アメリカに占領されました。アメリカ占領軍は日本政府に、新しい憲法を制定せよ、と命令しました。政府が作った案をマッカーサー占領軍司令官は拒否し、アメリカ軍のスタッフに改めて原案を作成するように命じました。

アメリカ軍の何名かのスタッフ(全員が憲法の素人)が、一週間ぐらいで原案を作り、それを和訳し、国会で形式だけの審議をしたうえで可決され、成立したのが今の日本国憲法です。このへんの経緯は多くの人はすでにご存じだと思います。

この憲法が制定されたのは1946年11月で、この時日本は占領されて主権を失っていました。気に入らない国会議員は、占領軍によって追放されたので、国会はこの原案を拒否できませんでした。力ずくで強制された法律行為は無効だ、というのが法律の原則です。従って、日本の国会はこの憲法を承認していません。

アメリカ占領軍が制定した憲法なので、「アメリカ占領軍が日本人のために作ってやった」と正直に書いているのであれば、まだいいのです。しかしこれには問題があります。ハーグ陸戦条約という国際条約があって、占領軍は被占領国の法律を作ってはいけないのです。そもそも憲法というのは、その国の国民が作るものであって、外国から与えられるものではありません。

当時の日本人は、「戦争に負けた」という実感は十分すぎるほど持っていました。しかし、憲法を巡って内乱が起きたり、暴動が起きたりという「てんやわんや」の状況などは全くなく、毎日生き延びるのに必死なだけでした。従って日本人は、「日本国憲法は成立した」と思い込んではいませんでした。「憲法制定権力」などなかったのです。

結局、日本国憲法は成立していません。

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