イランは、中東のリーダーになろうとしている

中東の国際情勢を無理して簡単に図式化すれば、ユダヤ教とイスラム教の対立がベースになっており、それにアメリカがイスラエルを支援しているという要素と、イランが中東のリーダーになろうという要素が、加わっています。

ユダヤ人を嫌うのはイスラム教徒だけでなく、キリスト教徒も他の宗教の信者も嫌っています。従ってイスラム教徒が宗教的な理由からユダヤ人を嫌うというのは、あまり正しい説明ではないと思います。ユダヤ教からイスラム教が派生しているし、ユダヤ教の聖典である旧約聖書はイスラム教の聖典でもあるので、教義の上からはイスラム教徒がユダヤ人を嫌う理由があまりないのです。

ユダヤ人は2000年前に祖国を失い、以来世界中を放浪していました。立ち寄った先の国で金儲けをし、愛国心を持たないために現地人の素朴な郷土愛を逆なでし、金であらゆる問題を解決しようとする態度が傲慢だと批判され、多くの国で嫌われたのです。

イスラム教徒をユダヤ人嫌いにさせたのは、20世紀のイギリスの外交政策でした。イギリスは第一次大戦と第二次大戦に勝抜くために、イスラム教徒とユダヤ人の両方に甘い態度を示して、イギリスを支援させました。

中東のかなりの部分がイギリスの植民地でしたが、イスラム教徒に対して民族の独立を認めると言いました。その一方で、欧米に住んでいたユダヤ人に対しては、パレスチナ(2000年前までユダヤ人が住んでいた地域で、今のイスラエル領土)にユダヤ国家を建設することを許可する、と言ったのです。

イギリスの二枚舌によって、イスラム教徒とユダヤ人が互いにパレスチナを争うことになり、1948年のイスラエル建国以来いままでに、四回もイスラエルとイスラム諸国が戦争をしています。

当時のイスラム諸国の支配層は、出来たばかりのイスラエルを舐めていて真剣に戦おうとはせず、戦争に負けてしまいました。その結果、イスラエルの存在が既成事実化しました。その時にイラン革命が起こり、イランは「イスラムの大義」に戻り、またイスラエルを潰して一般のイスラム教徒の尊敬を勝ち得て、中東のリーダーになろうとしているのです。

以下はひと続きのシリーズです。

6月28日 「イラン核合意」は中途半端

6月29日 イランは本気でイスラエルに対抗している

6月30日 イランは、中東のリーダーになろうとしている

7月1日 ユダヤ人もアメリカ人も、同じように、神から約束された地に移住した

7月2日 アメリカの正副大統領は、聖書に書かれていることはすべて本当だ、と信じている

7月3日 中東で大戦争が起き世界を大災害が襲った後神の国が現れる、と多くのアメリカ人が信じている

7月4日 アメリカがイスラエルを支援しているのは、宗教的な理由から

7月5日 イランとアメリカの間を仲介できるのは、日本だけ

7月6日 アメリカとイランの対立は宗教対立である

7月7日 「Bチームが日本のタンカーを攻撃した」という説がある

7月8日 イランの革命防衛隊がタンカーを攻撃した可能性もある

7月9日 イランの安定は、日本にとって非常に重要である

7月10日 ハメネイ師は、安倍総理と今後も話し合いを続けることを望んだ

7月11日 イランとアメリカの主張には、それぞれ弱点がある

7月12日 イスラム教によって中東をまとめることは、できない

7月13日 聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

7月14日 神様を召使いにする考え方

7月15日 アメリカでは、外国人も意見を述べることができる

7月16日 日本もそろそろ他国の世論を誘導する技術を磨いたほうがいい

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