聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

アメリカの7000万人の福音派(聖書に書かれていることはすべて真実だと信じているキリスト教徒)は、敵の大軍がイスラエルに攻め込んでくることをきっかけに、世界は大災害に見舞われるが、最終的にイエス・キリストが再臨し、地上に神の国が現れる、と信じ込んでいます。

アメリカの福音派は、自分たちも神の計画に参加して、聖書の予言を確実なものにしたいと考えました。そこでアメリカ政府に圧力をかけて、イスラエルを支援させ、中東に戦争を起こさせて、イエス・キリストが再臨する時期を早めようと考えたのです。

トランプ大統領は、支持者の圧力に押されて、イラン核合意を一方的に破棄してイランを経済的にも追い詰めているのです。このままではイランとアメリカの戦争になってしまいます。そこでトランプ大統領は、安倍総理に、双方の仲介役を頼みました。このような経緯から考えると、トランプ大統領は、本心ではイランとの戦争を望んでいないのではないでしょうか。

イランのザリフ外務大臣も、「日本のタンカーへの攻撃は、トランプ大統領の指示だ」とは言っていません。Bチーム(アメリカのボルトン大統領補佐官、イスラエルの首相、サウジアラビアやUAEの王太子の四人)が企んだことだ、と言っています。

「聖書の予言が実現するときは近い」というアメリカの福音派の主張にも弱点があります。聖書の予言を文字通り信じているのは、アメリカ人の内の7000万人だけで、残りの80%近くのアメリカ人は信じていないということです。さらに聖書の予言は、それがいつ起きるかということを明記していません。

例えば、旧約聖書には「やがて救世」が現れる」とは予言していますが、その時期を書いていません。旧約聖書だけを信じているユダヤ人は、まだ救世主は現れていないとして、今でも救世主を待ち続けています。

キリスト教徒が、「イエス様こそが、旧約聖書が出現を予定していた救世主なのだ」と主張しているだけなのです。旧約聖書にいつ救世主が現れるか書かれていないので、このような重大なことに認識のズレが生じ、その結果、ユダヤ教とキリスト教が分離してしまいました。

以下はひと続きのシリーズです。

6月28日 「イラン核合意」は中途半端

6月29日 イランは本気でイスラエルに対抗している

6月30日 イランは、中東のリーダーになろうとしている

7月1日 ユダヤ人もアメリカ人も、同じように、神から約束された地に移住した

7月2日 アメリカの正副大統領は、聖書に書かれていることはすべて本当だ、と信じている

7月3日 中東で大戦争が起き世界を大災害が襲った後神の国が現れる、と多くのアメリカ人が信じている

7月4日 アメリカがイスラエルを支援しているのは、宗教的な理由から

7月5日 イランとアメリカの間を仲介できるのは、日本だけ

7月6日 アメリカとイランの対立は宗教対立である

7月7日 「Bチームが日本のタンカーを攻撃した」という説がある

7月8日 イランの革命防衛隊がタンカーを攻撃した可能性もある

7月9日 イランの安定は、日本にとって非常に重要である

7月10日 ハメネイ師は、安倍総理と今後も話し合いを続けることを望んだ

7月11日 イランとアメリカの主張には、それぞれ弱点がある

7月12日 イスラム教によって中東をまとめることは、できない

7月13日 聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

7月14日 神様を召使いにする考え方

7月15日 アメリカでは、外国人も意見を述べることができる

7月16日 日本もそろそろ他国の世論を誘導する技術を磨いたほうがいい

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