イランは本気でイスラエルに対抗している

安倍総理は今回のイラン訪問で、イラン・イスラム共和国のローハニ大統領及び最高指導者のハメネイ師と順次会談しました。

イランは、1979年まで王国でした。国の近代化を強引に推し進めその過程でイスラム教の伝統を無視していました。イランの北はソ連でその圧力を常に受けていたので、外交的には親米でした。親米なので、アメリカが支援していたイスラエルとは、なあなあの関係を維持していました。

1979年にイスラム教の復活を目指した革命が起こり、イラン・イスラム共和国が成立しました。この革命政権は、ユダヤ教のイスラエルを敵視するので、イスラエルを支援するアメリカとも敵対するようになりました。

ペルシャ人(イラン人)は、2600年前にアケメネス朝ペルシャという大帝国を作ったプライドの高い民族です。この帝国の版図は、今のトルコ・エジプト・パキスタン・イラク・アフガニスタン・その他中東諸国にまで及んでいました。今でもペルシャ人は、中東全体を自分たちの版図だと思っているふしがあります。

イランは人口が多いだけでなく(イラン:8000万人、エジプト:9200万人、トルコ:7600万人、イラク:3300万人)、国民の教育水準が高く石油も出るので、潜在的な経済力は中東のトップです。また人種的にもイランは中東の中で独特です。中東のほとんどの諸国がアラブ系なのに対し、イランはアーリア系です(ペルシャ人65%、クルド人10%、トルコ系のアゼルバイジャン人25%)

要するに中東はイスラム教で一つに纏まっているわけではなく、イランが中東に影響力を拡大しようとするのに対し、アラブ諸国がアメリカの力を利用しながらイランに対抗している、という図式です。サウジアラビアは石油によって得た財力によって中東の大国を目指していますが、まだ力不足です。

アラブ諸国はアメリカに頼っているので、本気になってイスラエルを潰そうとは考えず、本心ではイスラエルとの共存もやむを得ないと考えています。ところがイスラム教に復帰したイランは、まじめにイスラエルに対抗しています。

以下はひと続きのシリーズです。

6月28日 「イラン核合意」は中途半端

6月29日 イランは本気でイスラエルに対抗している

6月30日 イランは、中東のリーダーになろうとしている

7月1日 ユダヤ人もアメリカ人も、同じように、神から約束された地に移住した

7月2日 アメリカの正副大統領は、聖書に書かれていることはすべて本当だ、と信じている

7月3日 中東で大戦争が起き世界を大災害が襲った後神の国が現れる、と多くのアメリカ人が信じている

7月4日 アメリカがイスラエルを支援しているのは、宗教的な理由から

7月5日 イランとアメリカの間を仲介できるのは、日本だけ

7月6日 アメリカとイランの対立は宗教対立である

7月7日 「Bチームが日本のタンカーを攻撃した」という説がある

7月8日 イランの革命防衛隊がタンカーを攻撃した可能性もある

7月9日 イランの安定は、日本にとって非常に重要である

7月10日 ハメネイ師は、安倍総理と今後も話し合いを続けることを望んだ

7月11日 イランとアメリカの主張には、それぞれ弱点がある

7月12日 イスラム教によって中東をまとめることは、できない

7月13日 聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

7月14日 神様を召使いにする考え方

7月15日 アメリカでは、外国人も意見を述べることができる

7月16日 日本もそろそろ他国の世論を誘導する技術を磨いたほうがいい

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