本当は、日本国憲法は新しく作られたもので、大日本帝国憲法から連続しているものではありません。ところが日本政府は敗戦直後に、大日本帝国憲法を改正したという体裁にして日本国憲法を制定しました。
それは、日本国憲法の制定に携わった日本政府の者たちが、この憲法がちゃんと成立したものだとは思えなかったからです。憲法は、その国民が腹の底から納得した時に初めて成立します。ところが、この憲法に関しては、日本人は全く納得していないのです。この事情についてはすでに説明しましたが<日本の憲法の現状(要約8)>、後にもう一度説明するつもりです。
新しい憲法を国民が納得していないのに、占領軍の命令でちゃんと成立したという体裁にしなければなりませんでした。そこで無理やりに大日本帝国憲法を改正したものだとして、この問題をなんとか切り抜けたわけです。
大日本帝国憲法第73条では、憲法改正に際して国民投票は特に要件となっておらず、衆議院と貴族院の可決だけで良いことになっています。日本国憲法について国民投票をしても賛同を得られる確証はなかったので、ちょうど好都合でした。
このようなわけで、この憲法の最初に「日本国民の総意に基づいて、新日本建設の礎が定まった」と書かれているにも関わらず、国民はこの憲法制定に際して、一切相談されていせん。
憲法制定の際には国民投票がされていないので、国民はいまだに憲法について賛成も反対もしていないのです。それにも拘わらず、改正の際には国民の過半数の賛同が要件とされています(第96条)。こんなことは世間の常識に反します。こんなおかしな憲法が、成立しているはずがありません。