実際にはアメリカの占領軍が作った憲法なのに、あたかも日本人が作ったかのようなカムフラージュが施されて、日本国憲法ができました。敗戦と同時に大日本帝国憲法は消滅したので、日本国憲法は全く新しい憲法です。
ところが、日本国憲法は大日本帝国憲法を改正したものだ、という体裁がとられています。日本国憲法の最初には、次のように書かれているのです。
朕は、日本国憲法の総意に基づいて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深く喜び、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73条による帝国議会の決議を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽 昭和21年11月3日
上記に触れられている大日本帝国憲法第73条は下記です。
1、将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スへシ
2、此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員ノ三分ノ二以上出席スルニ非ザレバ議事ヲ開クコトヲ得ス。出席議員ノ三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非ザレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
日本国憲法は、大日本帝国憲法を改正したものだという体裁になっており、また衆議院・貴族院の賛成により成立しました。帝国憲法は憲法改正の条件として国民投票で過半数の賛成を得ることを条件にしていないので、国民投票によって国民の意思を確認していません。
現在の憲法学者の大多数は、日本国憲法は大日本帝国憲法とは別の憲法だから改正という手続は実質的な意味がなかった、と言っています。
ではなぜ、このような実態に合わないことが行われたのでしょう。