日本国憲法第9条に3項(自衛隊の存在を明記する)を追加する案は、右派からも左派からも不人気で、北朝鮮や支那からの脅威に対して国民を結束させる効果は大して期待できそうにありません。
そもそも阿部総理が3項追加案を考えたのは、9条全体の改正、特に2項(陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない)の削除をするのは時間がかかりすぎ、北朝鮮や支那の脅威に緊急に備えるには間に合わないと考えたからでした。
しかし世の中は、「急がば回れ」の方がうまくいくことが多いです。9条を頭から無視して、日本の防衛力を強化するのが正論なのです。そもそも日本国憲法は成立していません。従って第9条の規定も当然ながら存在していません。存在もしていないものを無くすために時間とエネルギーを使うのは、無意味です。私はこのように考えています。
昔から、「日本国憲法は無効だ」と考える人はたくさんいます。日本人が自主的に作ったのではないからだとか、異民族が法律を作るのは戦時国際法に反するなどという、理由からです。1899年で採択された多国間条約であるハーグ陸戦法では、占領軍は現地の法律を尊重しなければならないと規定しています。アメリカ占領軍は大日本帝国憲法を否定して、新しい憲法を強制したのだから、明らかにこの条約に違反しています。
「日本国憲法は無効だから廃棄せよ」という主張がありますが、私はこの考え方はつじつまが合っていません。「無効」というのは、法律的には「条件を満たしていないために、効果が生じていない」という意味です。従って無効なものに対しては、廃棄するのではなく、頭から無視すれば良いはずです。
「無効だけれども、70年以上も存在しているような外観があるから、一応破棄したほうが良いだろう」という考え方も変です。憲法という国の根幹となる規範は、いつ・どのような経緯で・誰が作ったのかなど、きちんとした根拠が必要です。「何となくあるような顔をしているから」という理由で、効力が新たに生じるというものではありません。