9条に3項を追加する案は、不人気

阿部総理は、日本国憲法第9条の1項2項をそのままにして、「前二項は自衛隊を設けることを妨げない」という3項を追加しようと考えています。自衛隊の存在を正式にみとめようとする目的で、誰も積極的に反対できない内容です。

2項で「陸海空軍その他一切の戦力を持ってはいけない」と規定しています。従って3項で存在を認める自衛隊は、軍隊であってはならないことになります。ところが皆さんもご存じのように自衛隊は軍隊です。つまり3項を追加することで、ますますわけが分からなくなってしまうのです。

このように意味の分からない改正案なので、右派からも左派からも不人気です。左派は、3項を追加することにより2項を否定することになってしまい、結果的に「日本は戦力を持っても良い」ということになってしまうと考えています。右派は逆に、「自衛隊が戦力であってはならない」という考え方がより明確になってしまう、と心配しています。

今年の5月に阿部首相が9条に3項を追加する案を発表した時は、個人的なアイデアに留まっていましたが、これが自民党の正式な提案になりそうです。自民党は10月2日に発表した政権公約で「自衛隊の明記など、憲法改正を推進する」と述べているからです。9条の全面的な見直しではなく、1項2項はそのままにして3項を追加すると考えているように見えます。

3項を追加するという案は、たしかに国民全体が9条の抱えている大きな問題を考えるきっかけにはなりそうです。その一方で、国民が北朝鮮や支那からの脅威に対して結束する、という効果は期待できそうにありません。

希望の党の代表の小池ゆり子は、「9条に3項を付け加えるのは理解に苦しむ」と述べています。彼女は後出しジャンケンのようなことをして、3項追加案の意味不明さを突いています。このために、自民党は衆議院選挙で得票数をある程度失いそうな状況になってきました。

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