アメリカは、パリ協定から脱退したり、復帰したり

「パリ協定」について説明します。

2015年、パリで開かれたCOP21で決まったのが、パリ協定です。京都議定書では、先進国だけがCO2排出量削減の義務を負わされましたが、パリ協定では開発途上国も削減することになりました。

中国    2030年までにGDPあたりCO2排出量60~65%削減する(2005年比)
・               2030年前後がCO2排出のピークになる

アメリカ  2025年に26~28%削減(2005年比)

EU     2030年に40%削減(1990年比) 再エネルギー比を32%にする

インド   2030年までにGDP当たり排出量33~35%減(2005年比)

日本    2030年度に2013年度比26%減(2005年度比25.4%)

なお、先進諸国は開発途上国へ、2020年まで年間1000億ドルを拠出するとの合意をしていましたが、実績は2018年783億ドル、2019年796億ドルと未達です。罰則がないので、払わない国があるのです。

2017年に、トランプ大統領は、パリ協定を離脱しました。彼は、選挙中の公約の時から「オバマ前政権は議会の承認を得ずにパリ協定を推進してきた」と批判していました。そして、「パリ協定により米国は温暖化対策で巨額の支出を迫られる一方で、雇用喪失、工場閉鎖、産業界や一般家庭に高額なエネルギーコストの負担などが起きる。2025年までに製造業部門で44万人、全体で270万人の雇用が失われ、2040年までにGDPで3兆ドルが失われる」とも述べました。

ところがバイデン大統領は、就任と同時にパリ協定に復帰しました。

パリ協定は、2030年までの削減目標を決めただけですが、今年開催されたCOP26は、これを更に進めて、2050年にはCO2ゼロを決めることを目標としていました。しかしこの目標は実現できず、わずかに「石炭火力発電の段階的削減に向けて努力すること」が合意できたにすぎません。

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