日本の企業は神社で、松下幸之助は経営の神様

日本の企業は、一言で言えば神社です。そもそも企業の本社や支社という呼び方は、神社に対して使われた言葉です。多くの企業は、社屋の屋上や敷地の中に神社を祀っています。また、正月の初出の日には、社長以下の幹部が集団で特定の神社に初詣に行き、神主にお祓いをしてもらう企業も多いと思います。

「企業とは神社の事である」ということを具体的に示しているのが、パナソニックです。創業者の松下幸之助は「経営の神様」で、今では「松下幸之助社」の祭神に祀られています。三重県鈴鹿市にある椿大神社(つばきおおかみやしろ)の末社として本当にあるのです。

全国の57の旧城下町には、初代藩主や中興の祖を祭神に祀った神社があります。
鹿児島市           鶴嶺神社、照国神社  島津家
熊本市            出水神社       細川家
福岡市            光雲神社       黒田家
山口市            豊栄神社       毛利家
名古屋市・和歌山市・水戸市  東照宮        徳川家
仙台市            青葉神社       伊達家

つまり藩とは、藩祖を神としその子孫や家臣を氏子とする神社なのです。幕末から明治初期にかけて、武士たちは自分たちが育った藩の組織をモデルにして企業を創設しました。その結果、今の企業は神社と似たような組織になったのです。

では神社とはもともと何かというと、その地域を守る神様を祀る鎮守です。日本の土木技術が未発達の時は、川が頻繁に氾濫し水田が破壊されました。被害に遭った農民は、新しい場所に移動して水田を開拓しました。水田を開くには堤防を築かなければならず、大規模な作業になるので、見ず知らずの人も協力して作業をしました。血縁関係にない他人たちも一緒になって作業をするというのが、古代の日本の農業だったのです。そしてできた集落の中心になったのが神社で、住民たちが氏子でした。

熱帯の植物で水をふんだんに必要とする稲を温帯で栽培するという日本の農業は、世界的に見ても特殊です。そのため、日本に特別な働き方の伝統が生まれました。

神社を中心に氏子が集まって集団労働をするというのが、日本人の伝統的な組織です。そしてこの伝統が、江戸時代の藩や今の企業にも及んでいます。

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