海外の「もの言う株主」が、東芝の経営陣と対立

6月25日に、東芝の株主総会が開かれ、東芝は11人を取締役にすることを提案しました。ところが、シンガポールに拠点を持つエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが、11人の候補者の内の2人の取締役就任に反対したため、落選しました。

投資家からお金を集めてその資金で株を買い株主になって、企業を操って利益を得ようという集団は、「もの言う株主」「アクティビスト」などと呼ばれています。エフィッシモもこのような「もの言う株主」の一つで、1兆円をこえる資金を持っているようです。なお、エフィッシモはシンガポールに拠点を置いていますが、村上ファンドの流れを汲み、メンバーのほとんどは日本人です。

東芝の株主の60%は外国人です。エフィッシモは、他の外国の株主と連携して株主総会で東芝の提案に反対しました。東芝が経営に失敗して外国から資金を調達したので、外国人株主が増えてしまい、彼らが東芝の技術を海外に流出させるかもしれないという新たな危機に直面しています。

今のところエフッシモは、東芝が提案した取締役の一部の任命に反対しただけで、他の要求を東芝にしていません。しかし東芝や経産省は、東芝の技術を海外に売り飛ばそうとしているのではないか、と警戒しています。東芝は経営の失敗により多くの事業を売ってしまいました。しかしフラッシュメモリ事業(キオクシア)の株の4割を持っているし、原子力技術も少しは残っています。エフェッシモは、これらの技術を狙っているのかもしれません。

昨年7月に東芝の株主総会が開かれる前に、エフィッシモは、東芝が提案した取締役候補に反対し、別の取締役候補を提案する、という通知を東芝にしました。その理由は、東芝のコンプライアンス活動が不十分だから、ということです。

この通知を受けた東芝は経産省に報告し、一緒になってエッフィシモや他の外国人株主に説得活動を行いました。その結果、株主総会では東芝の提案が通り、エフィッシモの提案は否決されました。

今年3月に、エフィッシモは臨時株主総会を開くことを東芝に要求し、そこで昨年7月の総会前に経産省と東芝が株主に不当な圧力をかけたと主張しました。そして、エフィッシモが選定した弁護士に不正な圧力があったか否かの調査をさせよう、と提案しました。この提案を東芝は拒否しましたが、57%の株主が賛成し可決されました。