東芝は、トップが独断する会社になった

東芝は、トップが独断をする会社になってしまいました。東芝は規模が大きく、多くの事業を行っています。だから生え抜きの社長と言えども、すべての事業を知っているわけではありません。ところが社内の競争を勝ち抜いた強烈な個性を持った社長が、独断で判断をしていきました。その結果、多くの判断ミスが起きたのです。

西室泰三氏は、1996年~2016年までの20年間、東芝の社長・会長・相談役を歴任しました。また、西田厚聡氏は、2005年~2014年までの9年間、東芝の社長・会長を歴任しました。この二人が会社の経営を行った時代に東芝がガタガタになりました。

英語が得意な西室氏は、海外事業が出来るということで東芝に入り、入社後は海外営業一筋でした。そして外国人と強談判が出来る男だと評判になり、頭角を現していきました。当時、アメリカのGEにジャック・ウェルチという名経営者がいて、金融ビジネスへの参入・M&A・分社化・事業売却などの経営手法でGEを立て直しました。西室氏は、ジャック・ウェルチに心酔して、東芝でも、M&A・分社化などの組織いじりを盛んに行いました。

西田氏は非常に風変りな経歴を持っています。東大の大学院博士課程で政治学を学んでいましたが、卒業目前に大学から消えて、イランに行きました。真相は闇の中なのですが、どうやらイラン娘を追いかけていったようです。彼は東芝のイランの現地法人に就職し、31歳の時に本社採用になって日本に帰国し、半導体部門の購買担当となって頭角を現していきました。

東芝は、高度な技術によって成り立っている企業です。そのような企業を文系で技術的な知識がない者が経営するのであれば、技術的な幹部にかなりの判断を仰ぐのが普通です。ところが東芝の幹部の間では、お互いのコミュニケーションが十分でないようでした。そこに二人の強烈な個性が重なったので、誤った経営判断をしてしまったのです。

西室氏は、西田氏を高く評価して後継者にしたのですが、その後二人の仲が険悪になり、互いに感情的になって相手の方針に反対した、ということもありました。

このようにして、東芝は巨額の損失を出し、その穴埋めをするために将来性のあるフラッシュメモリ事業の半分以上を売りました。それだけでなく、外国から多額の出資を受けました。今の東芝の外国人株主比率は60%以上です。

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