東芝はライバルに差をつけられた

経営能力のない社長・会長が続出したため、東芝は他のライバル企業に大きく差をつけられています。売上高などの数字を見ても、かつては肩を並べていたライバルの半分以下です。

・                          売上高      経常利益      自己資本
東芝       30544億円        1535億円      11645億円
日立       87292        8444        44582
パナソニック   66988        2608        27685
ソニー      89994        11923        56215

企業の不祥事というのはどこにでもあります。しかし東芝ほどいろいろ問題を起こす企業も少ないです。その原因は、東芝の社風が、普通の日本企業とかなり違うからです。

三菱は土佐藩の下級武士だった岩崎弥太郎によって明治初期に創設されたので、組織の仕組みが藩をモデルにしてできています。三井と住友は江戸時代の初期からあった商家ですが、明治維新になって武士を最高経営者にスカウトして経営を刷新しました。従って両方とも、組織には藩の発想かかなり流れ込んでいます。幕末にできたIHI(石川島播磨重工)は、幕府の官営工場だったので、これも武士の組織の発想が入り込んでいます。

このように名門企業の組織は、藩の組織原理が根底にあります。それ以後にできた企業も、名門企業に見習っています。

江戸時代の藩は、藩主と家来が一体となって島津家とか毛利家という「家」を維持発展させることを目的としていました。大名という「家」は、領地を管理して年貢を徴収するという「事業」を行って、それで食べていたのです。

この伝統を受け継いだ日本の企業は、「家業」を維持発展させ、社員の生活を保障することを目的としています。社員は「労働力」ではありません。「家」を構成する重要なメンバーなのです。これが日本型企業の本質です。

ところが東芝は、創業当時の経緯が複雑だったために、日本型企業になり切れませんでした。次回はこの話をします。

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