140年前の日本は、自国の独立を維持するため、欧米列強から野蛮国と思われないように気を付けていればそれでよかったのです。Freedomや誠の考え方を持たない隣国の「悪友」と付き合っていると欧米列強から日本も同類と思われるので、付き合いを避けるべきだ、と福沢諭吉は考えました。
しかし今では、日本国内や欧米列強の中にも問題が生じてきました。即ち、社会主義というFreedomや誠に反する考え方を持つ勢力が強くなっているのです。
また、19世紀末の覇権国であるイギリスと良好な関係を維持するには、キリスト教色を排除したFreedomを考えていればよかったのです。ところが現在の覇権国であるアメリカとの関係を考える上では、Freedomの根底にキリスト教の信仰があることを認識しておく必要があります。その上、Freedomを仏教用語の自由という言葉に訳したために、今に日本人はこの意味を大乗仏教の教義で解釈し誤解しています。Freedomの本当の意味を理解するには、キリスト教をよく理解しておく必要が出てきたのです。
Freedomと誠はよく似ていますが、違う部分もあります。キリスト教は、イエス・キリストを信じなければ心は正しくならないと教えています。だから心が邪悪なままの異教徒は力で押さえつけなければならない、と考えます。しかし、神道の信仰から生まれた誠には、このような考え方はありません。
福沢諭吉は、日本人にFreedomの考え方を植え付けようとしましたが、よく似た誠の考え方を利用して理解を深めようとはしませんでした。日本にはキリスト教の伝統がないので、日本人はFreedomを正確に理解することは困難です。日本人の誰でもが持っている誠の心を強化するしかないのです。
このようなわけで、福沢諭吉先生の「脱亜論」を補完し発展させた主張として「誠主義」を提唱いたします。その主要な内容は下記です。
1、誠の考え方を日本の基礎に置き、仲間である日本人の利益を最優先する
2、Freedomと誠の考え方は似ている。従って、Freedomが普及している諸国とは誠の心で交際する。誠とFreedomの考え方で違う部分については、相手に理解してもらう
誠及びFreedomのどちらの考え方もない国々とは、必要最小限の関係しか持たない
3、誠やFreedomの考え方と対立し、人を不幸にさせる国内・海外の社会主義・グローバリズムと対決する
4、大乗仏教の発想で実社会を考えている「自由」を排除する
5、人には、それぞれが担っている役目を果たすために、個別に権限が与えられている。このような役目や権限を無視する非現実的な「悪平等」の考え方を、排除する
「誠主義」の視点で今起きている事件などの解説を、新年からしていこうと考えています。
コメント
調べものをしていて偶然こちらのブログにたどり着きました。
宗教の深い知識に基づいた分析、解説、論理の展開に引き込まれ、一読でファンになり、調べもののことも忘れて2017年の最初の投稿から最新の投稿まで気になるタイトルを夢中で読んでしまいました。
これまでの研究と深い洞察、見識に心から敬意を表します。
本日読ませていただいた数々のブログ、特にその集大成とも言える「誠主義ノススメ」を通じて感じたことは、歴史、宗教、伝統を踏まえて今後の日本が進む方向を明らかにするだけでなく、外国の思想、宗教、行動様式を理解し、さらに自らもFreedomや誠の思想がなければ国際社会で国家主権を維持しつつ発展していくことは容易ならざる時代に入ったんだな、ということでした。
もしそれがなければ社会主義/共産主義/グローバリズムに巻き取られて形ばかりの国家になり、人々は魂を無くしてゾンビになるしかありません。
そんなノッペラボーな社会など断固お断りです。
全世界的にポリティカル・コレクトネスによる社会主義的思想統制、言論統制がますます強くなるばかりですが、すべての日本人は、戦前、社会主義/共産主義の罠にはまって破滅の淵に追い込まれたことを忘れてはならないと思います。
私は誠主義を支持します。
現在日本は思想戦、認知戦、サイバー戦に巻き込まれています。
気がつけば負けていたという事態にならないよう一刻も早く大アジア主義の幻想から脱却すると同時に、社会主義とグローバリズムの欺瞞からも脱却しなければなりません。
宗教をベースに社会を分析するには、その研究に大変な労力と時間がかかり、しかも複雑で難解になることが多いですが、それにも関わらず平易な語り口と簡潔な文章のおかげで筆者の知見と洞察がスムーズに頭に入ってきました。
極めて難解で大変なテーマをこのように簡潔にまとめていただき、ありがとうございます。
Youtubeの動画も全て拝見するつもりです。
これからもお元気で、ますますのご活躍を祈念いたします。
応援、ありがとうございます。