アメリカはグローバル化し、また元に戻りつつある

福沢諭吉が『脱亜論』を書いたのは明治18年(1885年)でしたが、この時はキリスト教の教義を理解しなくてもFreedomを教科書通りに実践すれば、国際社会でうまく立ち回れることができました。ところがそれから50年ほど経った1930年代には、Freedomをキリスト教の教義に沿って理解しないと、世界の覇権国であるアメリカとの関係がうまくいかないようになりました。

それだけではなく、国際関係の中でFreedomとは異なる原則が現れてきました。「市民はみなまじめなキリスト教徒だ」という前提を否定する社会主義が勢力を増してきたのです。

社会主義には、マルクス系と非マルクス系の二種類があり、ナチスや戦前の日本の国家社会主義は非マルクス系でした。ところが日本やドイツが戦争に負けたため、第二次世界大戦後に生き残ったのは、マルクス系の社会主義です。

マルクスは、民族や人種という枠組みは支配者が作り出した虚構であって、本当は民族や人種の区別など存在しないと主張しました。だからマルクス系の社会主義は民族ごとに固まった国家を否定し、世界全体を一つの国家に統一すべきだと主張しました。欧米で流行っているグローバリズムは、マルクス系社会主義の兄弟なのです。

1930年代ぐらいからアメリカでマルクス系の社会主義化が徐々に進行し、特に第二次世界大戦後はそのスピードが加速されました。この影響で、人種差別をなくそうという動きが活発になりました。また、国境を無視するグローバル化も徐々に進行しました。1980年代ぐらいに生まれたネオコン(新保守主義)はグローバリズムを主張しており、社会主義から派生した思想です。

ちょうどそのような時に、トランプが「アメリカ・ファースト」を主張して、大統領になりました。彼はグローバリズムに反対し、メキシコとの国境に壁を作って不法移民の流入を阻止し、アメリカ人の安全と雇用を守ろうとしています。また、様々な不正な手段でアメリカより有利に立とうとする支那に対して、激しく敵対しています。これらの政策は、仲間であるアメリカ国民を助けようというもので、Freedomの考え方であり、グローバリズムと対立するものです。

ところがこのトランプの政策に対して、グローバリズムから強力な反対が起きています。民主党だけでなく共和党内部にも反対勢力があり、マスコミの大多数もトランプを非難しています。アメリカ人を優先するのは民族差別だというわけです。これはグローバリズムそのものです。

アメリカは、長い間グローバリズムを主張する社会主義勢力に牛耳られてきたが、最近になってトランプ大統領を中心にしてFreedomの勢力が反撃にでている、という状態です。

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