私有財産は自由の基礎である

ハイエクは、「私有財産は自由の最重要の基礎である」と主張しています。

自由主義経済体制では、自分の努力や運によって誰でも裕福になれます。一方の私有財産を国有化した体制では、国家が人々の所得を決めます。その結果、権力を獲得した者だけが、裕福になれます。「裕福な者が力を持つ自由主義社会の方が、権力を獲得した者だけが裕福になる社会主義体制よりましではないか」とハイエクは言うわけです。

確かに、社会主義体制がメインの支那では、権力者は一兆円以上の財産をため込んでいます。また権力者と繋がった政商たち(例えば、アリババを創業したジャック・マーやファーウェイ創業者の娘である孟晩舟)も独占的事業で得た利益を権力者と分け合っています。

今でこそ私たちは、私有財産が保証されていない支那の惨状を良く知っていますが、社会主義が素晴らしい体制だと大勢の人が信じていた70年以上前にこのようなことを見抜いたハイエクの能力はすごいな、と私は感心しました。

またハイエクは、「私有財産制は、財産を所有する者だけでなく、それを持たない者にとっても、重要な自由の保障である」と言っています。私有財産が認められている社会では、生産手段の管理が多数の人に分割されているから、誰も人々の運命を左右する完全な権力を持つことができず、自由が保たれるのです。つまり、今の会社が嫌になったら、転職する自由があるのです。

ハイエクは、「社会主義は洗脳を必要とする」とも言っています。

計画経済を成功させるには、何が本質的で重要な物なのかということについて、国民が一致していなければなりません。社会主義者は当初、国民にマルクスなどが説いた難解な社会主義理論を教育して、国民の考えを一つにしようとしました。

しかし国民はそのようなめんどくさい理論に納得せず、物の優先順位について国民の合意は得られませんでした。そこで政府は、党の世界観で国民を洗脳するようになりました。

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