分類の体系は、絶えず変化している

人間の脳の中に備わっている分類は、重層化しています。自動車は、さらに乗用車、トラック、軽自動車などのサブ分類に分かれています。この重層化した分類は、固定したものではなく、外界から新しい情報が入ってくると修正されます。

今から40年ぐらい前までは、携帯電話はありませんでした。従って人間の頭の中の分類には固定電話があるだけでした。ところがその後、携帯電話が普及した結果、われわれの頭の中の電話という分類は、固定電話と携帯電話という二つのサブ分類に分かれました。

さらに最近は、スマホが現れて、携帯電話というサブ分類はさらにスマホとガラケーの二つのサブサブ分類に分かれました。このように電話機の分類を例にとっても、外界から新しい情報が入ってくると、人間の頭の中の分類が変化していくのです。

また、人間の頭の中の分類体系は、互いに関連しています。例えば、部屋の中で座っている時に床が揺れ、窓ガラスがガタガタ音を出し、棚から物が落ちたら、われわれは自然現象の分類に属する地震という現象が起きたことを悟ります。

この地震という現象は、他の様々な分類と関連しています。自宅で地震が起きたことを知った母親は、学校に行っている子供が大丈夫か心配になります。つまり地震という分類と子供という分類は繋がっているのです。

エネルギー産業に従事している者やジャーナリストは、原子力発電所を頭に思い描きます。地震という分類と原子力発電所という分類が繋がっているのです。プレハブメーカーの社長は、耐震ハウスの販売を強化すれば儲かると考えるでしょう。地震という分類と家という分類は繋がっています。

大きな地震が起きれば、人は地震という分類に新たな情報を追加してその内容を修正するだけでなく、子供・原子力発電所・マスコミ・エネルギー産業・地質学・プレハブ住宅という全く別の分類に刺激を与えます。その結果それぞれの分類に新たな情報が追加され、内容が修正されます。

このように、様々な分類が重層的に連なっている分類の体系は、互いに密接に関連し、その一つが修正されたら、連鎖反応で多くの分類が修正されていきます。分類の体系は絶えず、変化しているのです。

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