WTOは報復関税を例外的に認めている

「トランプ大統領の行動は予測不能だ」と言う人の中には、既に決まったことを覆すということを理由に挙げている人が多いようです。しかしその具体的事例の中には、その批判が当たらないものもあります。

TPP交渉を打ち切った件は、まだ条約を締結する以前のことであり、決まったことを後から破ったわけではありません。パリ条約(地球温暖化対策のために二酸化炭素排出を制限しようとした条約)の脱退は、条約の中に脱退する条件が明記されており、特にトランプ大統領が条約を破ったということではありません。

ただし、イラン核合意をいきなりひっくり返して廃棄したのは、その合意に定められた手続きに則ったものではなく、違法なものです。そういう意味では、南朝鮮が慰安婦合意を一方的に破って「和解と癒し財団」を解散したり、戦時労働者問題で1965年の日韓基本合意を破って日本に賠償を求めてきたのと、同じ構図です。

南朝鮮はいつも平気で約束を破るので、日本人もアメリカ人も今さら驚かないのですが、もうすこしまともな国のはずのアメリカが違法なことをやったのでみんなが驚き、「トランプは変人で、その行動を予想することは不可能だ」ということになったわけです。

また、支那からの輸入品年間約2500億ドルに25%の関税をかけたことも、「トランプ変人説」の論拠になりました。ただしこの件は、イラン核合意の破棄とは違って、まるっきり違法と言うわけでもありません。

WTO(世界貿易機構)は、自由貿易を促進する国際機関で、国によって税率を変えることを原則禁止しています。アメリカが衣料品を輸入する際に、日本からの輸入品には5%で良いが支那製品は25%というように差をつけてはならないのです。

ただし例外があります。「関税及び貿易に関する一般協定」の21条は、「自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要なら例外だ」と規定しているのです。「敵に塩を送るようなバカげたことをしなくて当然だ」ということです。これに準拠して、「支那と準戦争状態なのだから関税を上げても、売らなくても良いのだ」とアメリカは考えたということです。

イラン核合意の場合も、「イランとは敵対しているのだから、アメリカの安全保障のためには合意を廃棄しても構わない」と同じような理屈を考えたということです。

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