WTOの規定はFreedomに基づいて作られている

トランプ大統領がイラン核合意を一方的に廃棄したり、WTOの原則を破って支那からの輸入品にだけ高関税をかけたことを、状況を鋭く観察していた人であれば、予測できたと私は思っています。

トランプ大統領の行動原理は三つあります。
1、大統領選挙の時に発表した公約(アメリカ人有権者とのドナルド・トランプの契約)
2、トランプ大統領の口癖である「アメリカ・ファースト」
3、アメリカの基本原理であるFreedom

公約には、イランとの核合意を廃棄するとか、支那製品には高関税を課するとは書いていませんが、多国間協定であるパリ協定から離脱するとか、NAFTA条約を廃棄するなど国際条約を変更すると書いています。さらに国家の安全保障を強化し、メキシコとの国境に壁を作ってその費用をメキシコに払わせるとも言っています。

従って普通の人でも、イラン核合意の廃棄や支那製品に高関税を課すというのもトランプならありうるな、という考えが一瞬でも頭をよぎるはずです。しかし次の瞬間に、「世間の常識や国際条約などのルールを破るというのは、普通はしないな」と思考のバランスが元に戻るのです。

しかしここで、Freedomの考え方を思い出してください。「イエスを信じる心正しい者が、仲間を助けるためであれば、社会のルールや慣習を破っても良い」というのがFreedomです。トランプ大統領は仲間であるアメリカ国民を守るという正しいことをするのであれば、イラン核合意やWTOの原則を破ってもやむを得ない、と考えたのです。

さらにWTOの一般協定の21条は、国家の安全保障が脅かされるという緊急事態の時は、自由貿易の原則を破っても良いと規定しています。WTOの規定自体の根底に、Freedomの考え方があるのです。WTOを作ったのは実質的にアメリカですから、これも当然です。

アメリカのすることを観察する時に、Freedomの視点を忘れると、おかしな結論が出てしまいます。多くの日本人が、「トランプの行動は予測不能だ」と考えるのは、Freedomを理解していないからです。今のアメリカはどんどん本来のFreedomの思考に回帰しているので、これが分からないと、ますますアメリカを見誤るようになります。

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