トランプの行動原理は、Freedom

Freedomは既存の法律や慣習を打ち破る考え方です。フランス革命やイギリスの清教徒革命のときに、当時の法律に反して国王を殺しました。これは、当時の道徳に照らしても、とんでもない行為でした。

法律を犯すと言っても、泥棒や詐欺などを働くのとはわけが違います。国王を殺すことは悪いことだということは承知しながらも、国民のためには国王を殺すこともやむを得ないという正義の考え方から行ったものです。

Freedomの訳語だと称する「自由」には、このような考え方がありません。満員電車の中で騒いで注意されて、「それはオレの自由ではないか」と反論する場合、自分のしている事が正しいと考えているわけではありません。単に外部からの圧力に反発しているだけです。

Freedomと自由は、発想の根本が違うのです。欧米ではFreedomのために革命を起こし戦争をしましたが、自由のために戦ったり革命を起こした日本人はいません。明治維新を起こした志士たちの思想的背景は、自由ではなく誠でした。西郷隆盛も吉田松陰も「至誠」「誠」を盛んに言っていました。

誠も既存の法律や慣習を打ち破る考え方です。幕末当時、諸藩の武士たちを縛っていた法律は、将軍や自分の殿様に仕なければならない、ということでした。しかしこのままでは日本が滅びると思い、やむを得ず将軍や殿様に逆らったのです。これからも分かるように、Freedomに対応する日本語は誠です。

経済の用語にも、「自由主義経済」とか「自由貿易」など「自由」という言葉が良く使われますが、この理解も欧米とは違います。日本では「制約を受けずに好きなことをして良い。干渉をしてはならない」ということだと思っています。

しかし欧米では、「正しいことは何か」ということをわきまえ、仲間が困っている時には助けてあげる大人がとる行動がFreedomです。だから自分の仲間の安全を脅かす相手には歯をむき出して、叩きのめそうとするのです。

トランプ大統領が、イラン核合意を廃棄したのも、メキシコとの国境に壁を築いたのも、支那からの輸入品に高関税をかけたのも、このFreedomの考え方からです。

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