安保条約は、いびつな傭兵契約

トランプ大統領は、2016年の大統領選挙の時から、日米安全保障条約に不満を漏らしていました。アメリカが日本を守ってやっているのに、日本は十分に費用を負担していない、という理屈でした。

このような発言に対して、日本側が「日本は条約の規定以上に思いやり予算を支出している。ドイツや南朝鮮よりも負担率は高い。またアメリカ製の武器をたくさん買っている」と説明したので、トランプ大統領は納得したように見え、この件についてはおとなしくなりました。

ところが最近また、蒸し返し始めました。「日本が攻撃されたら、アメリカは日本を守るために戦う。ところが日本人は、アメリカ人が日本を守っているために血を流しているのを、ソニーのテレビで見るだけだ」と発言しました。

トランプ大統領は、「金と命のどっちが大事なんだ」と言っているわけです。このような問いに対して、武器をたくさん買うとか思いやり予算を説明しても、納得するわけがありません。

戦うとは、仲間を助けるために自分の大事なものを危険にさらす、ということです。金という大事なものを払うのも戦に参加することになりますが、自分の命を危険にさらす方が貢献度が高いです。

1990年にイラクがクウェートに攻め込んだため、翌年多国籍軍がイラクを攻撃して、イラク軍をクウェートから追い出しました。このとき多くの国が軍隊を派遣しましたが、日本は110億ドルを払っただけでした。

戦後にクウェートの首長は、各国に対してその支援に感謝しましたが、その中に日本の名前はありませんでした。戦いの時に、血を流して一緒に戦ってくれるのが本当の仲間なのです。クウェートの首長は、日本を仲間だとは思いませんでした。

トランプ大統領もクウェートの首長と同じことを考えています。軍事同盟というのは、仲間が攻められたら、助太刀に駆けつけるという約束です。トランプ大統領から見たら、日米安保条約は軍事同盟ではなく、いびつな傭兵契約です。

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