人間は様々な手段を使って、お互いに仲良くなろうとしている

ミラー・ニューロンの発達以外にも、人間は集団を強固にしまた大きくしようとして、様々な自己改造を行ってきました。人間が比較的にしても暴力を嫌い群れの中で平和的に暮らすようになったのも、このためです。

人間は戦争ばかりして動物より暴力的だとよく言われますが、そういうことはありません。チンパンジーのオスの30%はメスを巡る争いによって死にますが、人間はこれほど好戦的ではありません。普通の男は、心理的な抵抗が強く、なかなか殺人をできません。敵兵を殺せる一人前の兵士に育てるには、特別の訓練が必要です。

ライオンやクマなど多くの動物のオスは、自分の子孫を少しでも多く残そうとして、メスが連れている自分以外のオスの子供を殺します。子供を殺され子育てを中断されたメスは、また発情してオスを受け入れるようになるからです。このような残酷さを、人間は持ち合わせていません。

また、人間は紛争が起きて仲間の結束が壊れることのないように、集団に所属する者が守るべき道徳を作り出しました。
1、仲間が困っていれば助けること
2、所属する集団に忠誠を示すこと
3、正義を行い、他者を公平に扱いこと
4、伝統を尊重し、正統な権威を敬うこと
5、身辺を清潔にし、肉欲から遠ざかること

これらの道徳は、世界中のどの民族も基本構造は同じです。ただしこれらの優先順位や具体的な内容は、民族ごとに異なります。

さらに、誰かがうっかり物を落としたら、生後1歳2か月の幼児はそれまでやっていたことを中断してその落し物を拾ってあげます。人間は人助けをするように生まれついているのです。

ミラー・ニューロンを発達させたり、道徳を作ったり、自然に人助けをするという事実から、人間は他人と仲良くし、助け合うように自己改造を行ってきたことが分かります。

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