人間はお互いに仲良くなって、強固な集団を作ろうとした

ワルツを踊っている男女の表情を見れば、彼らが単にワルツを楽しんでいるのか、踊るのを断ったら失礼になるからと義理でダンスをしているのか、あるいは意気投合しているのか、が分かるはずです。それによって彼らが行っていることの意図をも、正確に理解します。

義理でやっているのであれば、彼らの意図は社交の礼儀を守ることです。意気投合しているのであれば、彼らはこれからロマンスを始めようとしているのです。

人間の先祖は、チンパンジーと別れて独自の歩みを始めた時に、群れの規模を大きくして生存競争に勝ち残る決断をしました。そしてできるだけ群れの数を増やしていったのです。群れの規模が一定の水準を突破した時に、創発が起きました。

ミラー・ニューロンの数を増やしその能力をアップさせることによって、相手の感情の動きや意図を正確に読み取ることが、できるようになったのです。

人間と人間が向かい合って話をしている時、双方とも相手の表情を見て、声の調子を聞いて、自分のミラー・ニューロンを働かせます。そして相手が浮かべた表情とそっくり同じ表情を自分の顔で再現します。自分でその表情を作ることによって、相手の感情を感じ取ることができます。

つまり話し合っている二人は、相手の表情を真似し合っているのです。会話を続けているうちに、話すリズムや間合いの長さが相手に似てくるという現象は、このような理由で起きるのです。夫婦の話し方や仕草が似てくるのも同じ理由です。

子供が尊敬する人のしぐさを真似するのは、それによって尊敬する人の感情や考えていることを自分に取り込もうとしているのです。

あなたの相手は、あなたが自分の表情を真似したことを感じ取ります。そうなると、相手はあなたに好意を持つのです。お互いに相手を真似し合うことによって関係が良好になります。このようにして集団のまとまりがよくなり、団結が強固になります。また互いの関係が良くなるので、集団のメンバーを増やしても問題が起きないようになります。

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