天照大神は、孫のニニギのミコトに、「汝とその子孫である代々の天皇が日本を統治せよ」と命令しました。「日本の統治には係わらない」というつもりだったのではなく、ご自分の子孫を介して間接的に日本を統治する、という意味でした。
代々の天皇陛下はその体の中に天照大神の分霊を宿されている、というのが神道の考え方です。天照大神が日本人に対してご自分の意向を伝えたい時、そのメッセージを天皇陛下の体内にあるご自分の分霊に送信されます。すると神のご意向を受け取られた天皇陛下は、それを日本人に広く知らしめるのです。「ミコトモチ」という言葉は、ミコト(天皇陛下のお言葉)を持って地方に下る国司のことを指しますが、天皇陛下ご自身もミコトモチと呼ばれました。神のお言葉を国民にお伝えになるからです。
地域の神社で日本人が神に祈ると、その祈りは最終的に天照大神に届きます。その祈りを聞いた天照大神は、天皇陛下を介して日本を守る対策をとるわけです。
神は、天皇陛下を介して日本人にご自分の意向を伝えます。キリスト教の神は、イエス・キリストを介して信者にメッセージを伝えました。イエス・キリストが死刑になった後は、神はローマ教皇を介して信者に意向を伝えました。天皇陛下とイエス・キリスト或いはローマ教皇は、役割が同じなのです。
日本人は昔から、天皇陛下が支那の皇帝や西欧の国王のような単なる君主とは違う、ということをよく分かっていました。だから武士が勃興して鎌倉幕府・室町幕府・江戸幕府を作って天皇陛下の実権を奪っても、天皇陛下の役割がなくなってしまったとは、考えませんでした。
日本人は、天皇陛下を介して同じ信仰を持つ仲間になっています。日本民族という大きな集団が仲間を形成し互いに助け合うことができたので、日本は近代国家になることができたのです。
大東亜戦争敗戦時にアメリカは、天皇陛下の地位を廃止しようとしましたが、多くの日本人が必死に抵抗しました。天皇陛下がいなくなったら、日本を近代国家に押し上げた中心が亡くなってしまうという危機感を持ったからです。
日本人の仲間は、家を中心にした狭い範囲のものと天皇陛下を中心にした広いものの二種類があります。日本人は、家(企業)に忠誠を示しますが、国家にも忠誠心を持ちます。また企業で一緒に働いている仲間と助け合いますが、日本人であれば誰とでも助け合います。
以下はひと続きのシリーズです。
7月13日 人間の集団の作り方が上手だと、その国民は先進国を作る
7月16日 ミラー・ニューロンによって、相手の心の動きが分かる
7月17日 人間はお互いに仲良くなって、強固な集団を作ろうとした
7月18日 人間は様々な手段を使って、お互いに仲良くなろうとしている
7月20日 キリスト教や神道は人間の生き残り戦略に合致している
7月21日 支那では、孝が圧倒的に重要で、他の道徳は軽視されている
7月22日 日本人は共に働く者を仲間と考え、家に忠誠を尽くす
7月24日 天皇陛下のご存在によって、日本人全員が仲間になった
7月25日 科学的に考えれば、人間は異分子を排除すべきである
7月26日 西欧では、伝統的な仲間意識が破壊されたが、それを取り戻そうとしている