人間と動物は違う。人間は進化の途中で飛躍した

人間には相手が心の中で考えていることを推測する能力がありますが、チンパンジーにはそれがありません。

またチンパンジーは群れを作りますが、普段は仲間どうしが助け合おうとせず、別の群れと戦争をする時に協力するだけです。オスのチンパンジーの30%は、縄張りやメスを巡る戦いで命を落とします。チンパンジーは人間よりもはるかに、社会性がなく残酷なのです。テレビのペット番組に出てくるチンパンジーが幼獣ばかりなのは、成獣がとても危険だからです。

チンパンジーは頭の働きの点で、一般の哺乳類と人間の間に位置していますが、人間よりも一般のほ乳類のほうにずっと近いです。チンパンジーの脳の働きと他のほ乳類の脳の働きには、決定的な違いはありません。

チンパンジー以外の多くの動物も群れを作るし、言葉でコミュニケーションをします。クジラも鳥も群れを作り、共に言葉で情報を交換しています。相手が心の中で考えていることを推測できないということでは、チンパンジーと他の動物は同じです。

人間だけが相手が心の中で考えていることを推測できるのです。このようなことから、最近の人類学者や脳科学者は、人間は単純に動物から進化したものではない、と考えるようになりました。

どうやらチンパンジーから分かれた後で、人間に創発が起きたらしいのです。創発は、単体にはなかった性質が、集団になると生じる、ということです。例えば、個々の白アリには塚を作ろうという性質はありません。ところがシロアリの群れが一定サイズ以上に大きくなると、土や排せつ物を使って地面の上に大きな塚を作ります。

人間の集団が次第に大きくなって、ついに創発が起こり、相手が心の中で考えている事を推測できる能力を獲得した、ということです。この能力に密接に係わっているのがミラー・ニューロン(鏡の脳細胞)です。

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