南朝鮮の文大統領は、昨年5月の就任当初から北朝鮮に対して融和的でした。融和的というよりも南朝鮮の現状を否定し、北朝鮮によって南が吸収されることを望んでいるようにも見えます。
今年に入り、平昌での冬季オリンピックが近づくにつれ、この傾向が顕著になってきました。1月に南北境界線にある板門店で双方の閣僚が会談し、実質的な南北統一チームを作ることに合意しました。さらに、開会式では南朝鮮の国旗ではなく、南北統一旗を掲げることを決めました。
文大統領は、オリンピックが「平和の祭典」であることを理由として、オリンピック・パラリンピック開催中に実施するつもりであった米韓合同軍事演習の延期をアメリカに要請し、了解を得ました。このアメリカの譲歩により、パラリンピックが終了する3月18日までは戦争は避けられるようになりました。
北朝鮮がアメリカ本土に届く核爆弾搭載のミサイルの開発を完成させるのは、今年の半ば頃だと推定されています。それまでに北朝鮮に核兵器の廃棄をさせないと、北朝鮮はれっきとした核兵器保有国となり、もはや制御することが不能となります。
そうなれば、日本やインドネシア・ベトナム・台湾などの近隣諸国も北朝鮮の核兵器の脅威に対抗するために、核兵器を持つ決断をすることになるでしょう。北朝鮮が核兵器を持つことを容認したことになるので、アメリカはこれらの諸国が核兵器を持つことに反対できなくなります。むしろ日本対しては、核兵器を持つように要請してくるかもしれません。
東アジアの諸国が核兵器を持てば、世界中の国が核兵器を持とうとします。その結果、今まで維持してきた国際的な軍事秩序が崩壊し、戦争の危険性が高まります。
このように極東が非常に危険な状態にあるときに、文大統領は3月後半までアメリカと北朝鮮が戦争をしないようにしました。しかしその間も北朝鮮はミサイルの開発を続けます。つまり文大統領は、北朝鮮が時間稼ぎをすることに協力しているわけです。
アメリカは、パラリンピックが終わった3月後半からは、北朝鮮に核兵器を放棄するように圧力をかけることを再開し、場合によっては戦争も辞さない考えです。