西欧では、移民反対派が勢力を増している

EUは域内を人が自由に往来することを認めていて、移民もこの例外ではありません。ドイツやフランスは移民の受け入れに寛容なので、移民がどんどん入ってきます。だからイギリスに入りたい移民はいったんドイツで入国手続きを済ませば、障害に遭わずにイギリスに入れました。

移民の流入を嫌がったイギリスでEU離脱論が起こり、2016年にその賛否を問う国民投票が行われました。EUから離脱すると関税が復活するなどイギリスは経済的に不利になるので、イギリス国民はEU離脱を望まないだろう、と多くのマスコミは予想しました。ところが蓋を開けてみると、EU離脱派が勝ってしまいました。イギリス人は少々の経済的不利益を受けても移民を排斥するほうを選んだのです。

2017年5月に、フランスで大統領選挙がありました。既存政党のほとんどが移民に寛大な政策を掲げているために国民の支持率がどんどん低下していたので、移民に否定的な国民戦線のルペン候補がどこまで得票できるかが注目されていました。

現職のオランド大統領(社会党)は不人気で選挙に出ても当選する可能性がなかったので、身代りに素人政治家のマクロンを候補に立てました。マクロンは政治の才能は無いのですが、奥さんが25歳年上だということから女性票を期待できました。またユダヤ人大富豪であるロスチャイルドの銀行に勤めていたことから、金融業界の支援も期待できました。

第一次投票では11人の候補者が争いましたが、1位はマクロンの24%、2位ルペン21%と得票率が伯仲していました。決選投票の時は、既存政党が全てマクロンを応援した結果、マクロン66%、ルペン34%となり、マクロンが当選しました。フランスの支配層は反ルペンで結束していて、マスコミはルペンに対するネガティブキャンペーンばかりをやり、またルペン候補に選挙資金を貸す銀行は、ありませんでした。

2017年9月にドイツの国会議員選挙がありましたが、寛容な移民政策を主張するメルケル首相の与党が大幅に議席を減らす一方、移民に否定的な「ドイツのための選択肢」が初めて国会に議席を確保しました。

ドイツやフランスでは、既存政党やマスコミがすべてグローバル主義に染まっています。彼らが選挙で巨額の資金を投じて寛容な移民政策を宣伝したために、マクロン候補が勝ちました。

西欧でも40~50年前は、外国人労働者を定住させる気はありませんでした。ところが現実には大量の移民が定住し、社会に様々な問題を引き起こしています。

日本は最近になって外国人労働者を入れ始めました。留学生や技能実習生などの名目で、期限が来たら帰国させる建前にはなっています。しかし西欧の例を見ても分かる通り、このまま放置しておけば彼らは定住し、大きな社会問題になることは目に見えています。