ヤマト急便などの宅配便サービスは最近値上げをしました。それはこの業界の労働者は運転免許がないと務まらず、宛先などの日本語も読めなければなりません。外国人労働者は宅配便の業務をできないのです。
宅配便サービスは外国人労働者を使えないので、日本人労働者を確保するために賃金を上げました。その結果、宅配便の値上げをせざるを得なかったのです。逆に言えば外国人労働者を使える業種では、労働者の賃金がなかなか上がらないのです。
日本人の賃金がなかなか上がらない原因の一つが、100万人以上いる外国人労働者の存在です。日本人の賃金が上がらないので購買力が増えず、日本全体の需要不足が解消されず、デフレが長引いています。
外国人労働者が日本にいなかったら、企業は賃金を上げて労働力を確保しなければなりません。収入が増えた日本人は、物をたくさん買うようになるので企業は生産量を増やすようになります。
企業が生産量を増やすには、労働者を増やすか、或いは生産性を向上させるか、のどちらかをしなければなりません。外国人労働者を雇えず労働者数を増やせないのであれば、設備投資・従業員教育・技術開発などをやって生産性を向上させる以外に方法がありません。
生産性が向上するということは、一人あたりの生産量が増えるということなので、賃上げの余力が生まれます。高度成長期の日本は慢性的な労働力不足だったので、設備投資と技術開発を盛んにやって生産性が向上しました。労働者を企業が奪い合っていたので、どの企業も賃上げをして従業員が辞めないようにしました。
人手不足というのは、生産性向上による賃上げのチャンスなのです。日本は今、高齢化によって労働力が減少しているので、まさに賃上げのチャンスです。ところが今の経営者は、生産性向上ではなく、安価な外国人労働者に頼っています。
設備投資や研究開発・従業員の正社員化は、長期的に巨額の資金が必要であり、経営的にはかなりのリスクです。このリスクを負うのが嫌なので、今の経営者は安価な外国人労働者の雇用に走り、その結果として日本はデフレから脱却できないでいます。