経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
自由主義経済の根底にはキリスト教の信仰から生まれた自由の考え方があり、マルクス経済学は唯物史観という哲学を基礎にしています。だから共産主義社会だったソ連と自由主義のイギリスとでは、人間の経済分野における行動が全く違っていました。
自由主義経済の根底にはキリスト教の信仰から生まれた自由の考え方があり、マルクス経済学は唯物史観という哲学を基礎にしています。だから共産主義社会だったソ連と自由主義のイギリスとでは、人間の経済分野における行動が全く違っていました。
平均賃金が下がったことをどう理解するか? 安倍総理は次のように説明しました。「夫婦がいてご主人が勤めていて給与が40万だとする。奥さんは今まで働き口がなかったが、世間の景気が良くなってパートの職を得、10万円の給与を得たとする。夫婦の収入は50万円に増えたが、平均給与は40万円から25万円に減った。平均賃金が下がったのは、景気が上向いている証拠だ」。
高橋是清は詐欺事件に巻き込まれて大蔵省を退職し、財産もすべて失ったことがあります。その後、大蔵省に再就職したらどうかと人に薦められた時に、「食うに困って就職すれば、たとえ間違ったことをするように命令されても言うことを聞かざるを得ない」として、役人になることを拒否しました。
日本が金本位制復活に向けて様々な努力をしている最中の1929年に、アメリカで大恐慌が起きそれが世界中に伝播したので、欧米諸国は金の輸出を禁止...
第1次世界大戦が終わった後、欧米諸国は次々に金本位制を再開しました。日本は戦後慢性的な不況と関東大震災のために金本位制を再開できませんでした。国際連盟の常任理事国ともあろう日本が金本位制を復活できないことを、為政者たちは恥ずかしく思っていました。
プリンストン大学のポール・クルーグマン教授(2008年ノーベル経済学賞を受賞)は、「日銀は2~3%程度のインフレを目標として掲げるべきだ」と主張しました。今や日銀だけでなく、35か国の中央銀行がインフレ目標を掲げています。
減税やばらまきなどによって国民の可処分所得を増やす財政政策は、為替が変動相場制になると効果が少なくなります。1998年からの大規模な公共投資の効果がもう一つだったのは、このような理由です。金融政策の内、政策金利(公定歩合)を引き下げる方法は、すでに金利がゼロ近くになっていたために、できなくなっていました。
冷戦当時、アメリカは日本や西ドイツを自由主義陣営にひきつけておくために、日本や西ドイツが為替操作をして自国通貨安にしているのを大目に見ていました。しかしソ連の力が弱まってきたので、アメリカは日本や西ドイツを以前ほど甘やかす必要がなくなりました。そこでプラザ合意で、為替操作を止めて経済の実力でレートを決めることにしたわけです。その結果、プラザ合意の2年後に1ドルが120円という本来の交換レートになりました。
安部晋三は衆議院選挙の前からアベノミクスを公約に掲げており、マスコは衆議院選挙で自民党が大勝し政権交代が起こると予想していました。従って野田総理が2012年11月に衆議院を解散した途端に、多くの日本人は自民党が政権をとりアベノミクスが実施されることを予想しました。そこで多くの投資のプロや経営者たちは、インフレになると考え、それを前提にして行動を開始しました。そのために阿部総裁が首相になる前に相場が動いたのです。
インフレになれば経済が活性化して売り上げが増え、時間が経つほど物価が上昇します。そこで「これからインフレになる」経営者たちが予想すれば、設備や資材などを早めに購入して生産能力の増強に努めます。株価も騰がるので、今のうちに株を買っておこうとします。つまり実態経済が何も変わっていないのに、インフレになったかのように行動し始めるのです。