「君臨すれども統治せず」の意味を誤解した

大日本帝国憲法は、天皇陛下が自ら日本の政治を行う、と規定しています。ところが政府の公式見解は、イギリスの政治制度に近いことを考えていました。即ち、国会の議決や大臣・重臣が公式会議で決めたことに、天皇陛下は従わなければならなかったのです。

イギリスの政治制度は、「国王は君臨すれども統治せず」というように一般に理解されていますが、イギリス王は我々日本人が思っている以上に政治的な力を持っています。19世紀後半のイギリスのヴィクトリア女王は、嫌いな政治家を総理大臣に任命することを、最後まで承認しませんでした。

現在のイギリス王室も相当の政治的な発言権を保持しています。2014年に支那の習近平国家主席はイギリスを公式訪問しましたが、その時の晩さん会にチャールズ王太子は欠席しました。他にもトイレの前で会見を行ったなど、色々と嫌がらせをしました。

キャメロン内閣が支那の習近平を招待することを公式に決定したので、王室は正面からそれに反対することはしません。しかしこのような形でキャメロン内閣に文句を言ったのです。このスキャンダルは世界中で放映されたので、イギリス王室の考えがイギリス国民に十分に伝わりました。その結果、支那製の原発をイギリス国内で建設するなどの習近平とキャメロン内閣の合意事項の多くがひっくり返されています

多くの日本人は、イギリスの政治体制「国王は君臨すれども統治せず」を誤解していて、イギリス王は一切の政治的活動をしていないと思っていました。そして日本の天皇陛下も、イギリス王と同じように政治活動をされてはならない、と考えていました。

戦後、天皇陛下は憲法の規定により日本の象徴となり、一切政治的な活動をしてはならないことになりました。戦前から天皇陛下は政治活動をなさらない象徴的なご存在だと日本人は思っていましたから、象徴天皇についても「昔からそうだった」と思っただけでした。

私も最近まで、「戦前の天皇陛下も一切政治的な発言をされなかった」と思い込んでいました。

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