アメリカは結局、北京五輪に参加

アメリカが社会主義化・グローバル化して衰退していくか否かを考える上で参考になる節目が、北京冬季オリンピックのボイコット問題だと思います。

ボイコットには、穏健策と強硬策の二つがあります。
穏健策は、選手団を北京に送って競技そのものには参加させるが、外交官や国家首脳は開会式に参加せず、不満の意志を表すというやり方です。強硬策は、選手団を北京に送らないというやり方です。冬のオリンピックの選手たちはヨーロッパ人・北米人・日本人が多数なので、これらの国が一致して選手団を送らなければ、実質的にはオリンピックが成立しない、ということです。

元首や外交官が開会式をボイコットするという穏健策は、2014年のソチ冬季オリンピックの時に行われました。この時、アメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、イギリスのキャメロン首相が欠席し、安倍首相は出席しました。

欧米諸国が開会式をボイコットしたのは、ロシアが「未成年者への同性愛宣伝禁止法」を可決したからです。このようなどうでもよいことに反対するために行われるのが開会式ボイコットです。実際、このボイコットはほとんど効果がありませんでした。

選手を送らないという強硬策の前例には、1980年のモスクワ大会があります。前年の1979年にソ連軍がアフガニスタンに侵攻したという理由で、アメリカの民主党のカーター政権は、モスクワ大会をボイコットし選手団を送りませんでした。

カーター政権は、1936年のベルリン大会にアメリカが参加して結果的にヒトラーの政治宣伝に利用されたことを考慮して、モスクワ大会ボイコットを決めました。当時のドイツはまだユダヤ人を殺しておらず、国外追放していただけでした。いま中国政府が行っているウイグルでのジェノサイドは、当時のドイツより酷いので、同じ基準で考えれば、当然北京冬季オリンピックに選手団を送るべきではありません。

バイデン大統領は、結局外交的ボイコットという弱い方法に決めました。北京冬季オリンピックに選手団を送り、中国共産党に譲歩して、エネルギーをトランプ退治に集中するということです。さらには、中国をトランプ退治の仲間にするということです。そうなれば、アメリカの社会主義化・グローバル化がますます進展することになります。

多くの皆さんもすでに気づいている様に、社会主義者は口では「人権、人権」と言いながら、他人の不幸には冷淡です。それは北朝鮮に拉致された日本人に対する日本の野党の態度を見ても分かります。

誠やFreedomは、他人と助け合おうという考え方なので、他人の不幸に敏感です。一方の社会主義は、指導者が唱える「正義」を絶対視して、それに従わなければならない、と考えるので、人権に鈍感になります。このような理由から、社会主義者はウイグルのジェノサイドに比較的冷淡で、北京冬季オリンピックのボイコットにも積極的ではありません。

バイデン政権が北京冬季オリンピックに選手団を送り込むことを決めたことにより、アメリカを世界最強の国にしたFreedomの考え方が弱くなっている、ということがはっきりしました。

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