バイデン大統領は、トランプ大統領が始めたメキシコとの国境の壁の建設を中止させました。このために、トランプ時代には大幅に減っていた不法移民の数がまた急増しています。これは国境や国家を認めないグローバル主義に基づいた政策です。
民主党のバイデン政権は、不法移民たちを保護し居住権を与え、最終的には国籍まで付与しようと考えています。それは、彼らが民主党に投票することを期待しているからです。
不法移民には有色人種が多いので、さらに彼らの心をつかむために、批判的人種理論をアメリカ中で普及させています。このようにグローバル主義と不法移民の容認と批判的人種理論は、セットになっています。
昨年1月20日、大統領就任の初日に、バイデン大統領は、性的少数者(LGBT)への差別を禁じる大統領令に署名しました。また、1月25日には、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)が米軍に入隊することを禁じたトランプ前大統領の措置を取り消す大統領令に、署名しました。
性的少数者に対する差別をなくそうという発想は、マルクス主義です。キリスト教は、神がそれぞれの人間に対して男や女の役割を与えたのだから、自分に割り当てられた性に反対してはならない、と考えます。マルクス主義は、キリスト教は支配者が自分たちの都合の良いように定めたルールだとして、男と女の役割分担を否定します。バイデン政権は、上記の政策からも分かるように、マルクス主義・グローバル主義です。
バイデン政権は今のところ、トランプ大統領が採った中国封じ込め政策を維持していますが、実質的にはこの政策を手抜きしています。トランプ大統領は中国封じ込めにエネルギーを集中していましたが、バイデンはエネルギーの一部をアメリカの社会主義化・グローバル化の推進に割かなければならないからです。
例えば、バイデン大統領は、連邦検察官(全員で93人)のうち、トランプ大統領が任命した56人を解雇しました。解雇された検察官の中には、中国のスパイの捜査・起訴を行っている者が多数いました。その後任にバイデンが任命した者は、社会主義者・グローバル主義者が多いです。
トランプ政権には、ファーウェイ排除など具体的に中国排除を推進しようとした若手がたくさんいました。例えば、もともとウォールストリート・ジャーナルの記者で中国語が堪能の上、中国当局に拷問を受けたポッティンジャーは、米中デカップリングを推進し、大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めていました。彼らがバイデン政権成立とともに一斉に辞任し、中国対策の能力がかなり低下しました。
バイデン政権は、二酸化炭素削減を重視しています。そうなると世界中で一番大量の二酸化炭素を排出している中国と削減について合意を得なければなりません。そこでバイデン大統領は、オバマ大統領の時の国務長官で、2004年には民主党の大統領候補だったジョン・ケリーを気候変動問題大統領特使に任命しました。
彼はバリバリの親中派です。中国としては二酸化炭素削減政策に対する見返りとして、アメリカに多くのことを要求できます。トランプ大統領は二酸化炭素の排出量を制限しようとするパリ協定に反対して脱退したほどですから、このようなことで中国に譲歩しようなどとは考えていませんでした。
バイデン大統領は、中国を封じ込めるために使ってきた多くのエネルギーを、国内の社会主義化・グローバル化に投入しています。この国内対策は、そのままトランプ側の勢力を弱体化させる対策でもあります。
2020年の大統領選挙では、バイデン側は野党として選挙戦を戦いましたが、それでも選挙に勝ちました。2022年の中間選挙や2024年の大統領選挙では、民主党は与党として国家の力を活用し、より強力になってトランプ陣営と対決します。さらに中国に様々な譲歩することによって、中国の工作活動を選挙対策に活用することもできます。
多くの報道が、最近の民主党内の分裂やバイデン政権の失政によってこの政権が危うくなっていることを伝えています。しかし私は、このような見方に全面的に賛同しているわけではありません。2022年の中間選挙や2024年の大統領選挙で共和党が勢力を回復できなければ、アメリカは衰退に向かうでしょう。
実際にバイデン政権は、見えない所で中国に譲歩しているようです。バイデン大統領は、5月末にパンデミックを引き起こしたウイルスの発生源を90日以内に報告せよ、と指示しました。ところが出てきた報告書は、原因を特定できないという腰の引けたものでした。