敗戦後74年の間に、「天皇陛下は直接に日本を統治するのではなく、神と日本人の間を仲介する方だ」という日本の伝統的な発想に日本人は戻りました。天皇陛下が日本を統治するという大日本帝国憲法の最も重要な原則を、日本人は認めていないということです。従って、大日本帝国憲法は消滅した、と私は考えます。また、「日本国憲法」は無効です。この前提で話を進めます。
敗戦後の日本人は、成文憲法など存在していないことをうすうす分かっています。だから、「日本国憲法」に反する法律を平気で作っています。例えば、「日本国憲法」第9条で軍備を禁止しているのに、「自衛隊法」を定めています。また、第89条は、税金を教育に使うことを禁止しています。ところが、実際には国立大学の維持に莫大な予算を投入し、私立大学にも巨額の支援をしています。
日本人は、「日本国憲法」など全く気にしていない一方で、選挙で選ばれた国会議員が作る法律を信用しています。そして国会が制定した法律の中には、日本の骨格を形成している重要な法律があります。
「国会法」は、国会議員は選挙によって民主的に選ばれるべきだと規定しています。「裁判所法」は、司法は行政から独立すべきだと規定しています。「自衛隊法」は、「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とする」と明記しています。
上記のように日本の骨格を形成する重要な法律がある一方で、重要性が劣る法律も作っています。「借地借家法」などは社会秩序を守るために必要ですが、誰もこれを日本の骨格を形成する法律だ、とは思わないでしょう。
イギリス人は、重要だと考えている法律や契約書の一群が「イギリス憲法」なのだと考えています。例えば、1911年に制定された「議会法」は、イギリス憲法を構成する法律の一つだとされていますが、他の法律と同じ手続で制定されたもので、最初から特別扱いされたものではありません。
今の日本の法体系は、イギリスと同じなのです。成文憲法典が存在せず、多くの法律に中から重要なものを選んで、「日本の骨格を形成する法律だ」と多くの日本人が考えているのが、現実です。