「日本国憲法無効説」は二種類ある

日本を取り巻く安全保障の環境が年々悪化するのに、憲法改正が進まないこともあって、次第に「日本国憲法無効説」に目覚める人が増えています。

実は「無効説」にも二種類あるのです。

一つは、「占領軍が勝手に作った説」で、「占領中に無理やり作らされたのだから無効だ」と主張している説です。日本人の意見を聞かず、占領軍が一方的に原案を押し付け、国会の審議にも干渉しているから「日本人が主権者として主体的に作ったものではない」ということを根拠にしています。

また、アメリカ占領軍がやった事は、1899年に出来た「ハーグ陸戦条約」の第43条に反しています。
ハーグ陸戦条約第43条: 国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重しなくてはならない。

アメリカの占領軍は、大日本帝国憲法を無理やり改正させたのですから、この条文に違反しています。なおこの説の著書として、小山常実教授『日本国憲法無効論』があります。小山先生は京都大学の教育学の博士課程を卒業した後、大月短期大学教授をしています。

この本は、「日本国憲法」が作られる過程で、アメリカ占領軍が事細かく指示し干渉したことを詳しく説明しています。また、「日本国憲法無効説」を主張する他の学者の説も紹介しています。

小山先生は、「日本国憲法」が憲法としては無効であるとしています。その一方で、無効確認の決議が国会で正式になされるまでは有効だとも述べていますが、これは論理的におかしいです。無効であれば最初に遡って効力がないはずです。

このような主張になったのも、「法的安定性」を小山先生も考慮した結果だと思います。「日本国憲法」制定から今まで長い間政府は活動をしてきましたが、そのほとんどは憲法の規定に根拠があります。それが無効宣言で、一挙に根拠を失います。

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