共産主義は読んで字のごとく、生産設備を共有にし、さまざまな物を共同で使おうという考え方です。ただしこれは手段であって、目的は「人間の解放」です。
資本家に無理矢理働かされることによって、人間の心はねじ曲がってしまいます。そこで資本家を撲滅し私有財産を廃止することによって、人間本来の心を取り戻そうとするわけです。
「私有財産が廃止されれば、人間の心が本来の正しい状態に戻り、解放される」という考え方は何の根拠もなく、非常に幼稚な考え方です。それはかつてのソ連や今の支那・北朝鮮の状況を見れば一目瞭然です。このように共産主義の考え方は幼稚で非現実的なのですが、当初の目的は崇高だった、ということは忘れないでください。
ここで目を、日本共産党に転じてみましょう。この政党もマルクス主義というキリスト教を模倣した考え方に基づいています。キリスト教には出家という発想がなく、現実の社会を良くしようという考え方です。キリスト教を模倣した共産主義も同じで、現実の社会を「解放しよう」と考えています。つまり日本共産党も、日本を「解放しよう」としています。
民進党などほかの野党は、無意識のうちに仏教の発想になっています。仏教は出家して社会から離脱することが正しいと考えているので、考え方がどうしても「浮世離れ」しています。そして現実社会は仏教の教えに無関心な低俗な連中が集まっているところだとして、「社会はくだらない」「国家は悪いことをする」と考えます。
他の野党があまりに「浮世離れ」していることに愛想を尽かした日本人の一部が、「浮世離れ」していない日本共産党を支持するようになりました。
日本共産党の国会議員数がそこそこのレベルで踏ん張っているのは、こういう理由です。その一方で日本共産党の弱体化が進んでいて、党員数や赤旗発行部数は減少し続けています。ソ連が崩壊したので、共産主義自体に疑問を持つ人たちが増えたからでしょう。