マルクスは、従来の社会主義や共産主義を「空想的」と言って軽蔑し、自分の唱える社会主義や共産主義を「科学的」と自画自賛しました。資本主義から共産主義に移行する途中の社会の仕組みを、マルクスは社会主義と言っています。
ではマルクスが何を根拠にして「科学的」と言っているかというと、「史的唯物論」「弁証法」「人間疎外」などの哲学用語を使って考えているからなのです。しかしこれらの考えは事実の裏付けがなく、ただ理屈で考えているだけです。だからマルクスの書いた本を読んでもやたらと難しいです。
私は、理論物理学などまともに勉強したことのない完全な素人ですが、ノーベル賞級の学者が素人向けに書いた本の内容を理解することができます。それは、自然の法則の根本が極めて単純だからです。
例えば、アインシュタインの相対性理論は、E = mc2という数式で表せます。もちろん宇宙をこの数式で説明するまでには複雑な計算をしなければなりませんが、宇宙の構造は整然としているので、結論だけを述べてもなんとか理解が可能です。そして、地上の位置情報を表示するGPSは、ニュートン力学ではなく相対性理論を応用している、という説明が理解できてしまうのです。
そういう意味から、やたらと難しく読んでも簡単に理解できないような説には、用心するにこしたことはありません。実際にマルクスの説が科学的であったならば、ソ連や支那の状況はもう少しましだったはずです。また、ソ連や支那には、「人間が解放された社会」が来たはずです。
しかし実際には来なかったから、共産主義は信用を失いソ連は崩壊しました。支那政府は、「社会主義市場経済」を唱えていますが、これは「共産主義などやめだ」と宣言したということです。共産主義理論は、決して科学的ではありません。