ウクライナ戦争に関して、ロシアのプーチンもウクライナのゼレンスキーも自分の正当性を主張していますが、どちらの言い分にもウソとホントが混じっているように思えます。
プーチンは、次のようなことを、ゼレンスキーに言っています。
1,ロシアはウクライナの領土に対する野心を持っていない
2,ネオ・ナチによって迫害されている人たちを保護するのが今回の侵攻の目的である
彼らの安全を確保するために、ロシア系住民が多いウクライナ東部のルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国の独立を認めよ。さらにクリミアがロシアの領土であることを認めよ
3,ウクライナがNATOに加入してはならない
4,ロシア人とウクライナ人は歴史的に同一民族である
これに対し、ゼレンスキーは反論しています。
1,ウクライナはロシアとは別の主権国家であり、領土への侵入は許さない
2,ウクライナ国内でネオ・ナチによる住民への人権侵害など起きていない
3,NATOに入るか否は、ウクライナが決めることであり、内政干渉は許さない
プーチンは、ウクライナを属国化するとか併合しようとは考えていないようです。それはウクライナ全土を占領するのに必要な60万人の軍隊で侵攻せず、20万の軍隊で短期戦をすることしか考えていなかったことからも、分かります。プーチンは、この点ではホントのことを言っていると思います。
ネオ・ナチがロシア人系住民に対して暴行・殺害などのジェノサイドを仕掛けて、彼らをウクライナから追い出そうとしているというのは、事実だったようです。この点についてもプーチンはホントのことを言い、ゼレンスキーはウソをついている、と私は思っています。
ロシア人とウクライナ人が同一民族か否かという点は、「民族とはなにか」という問題と関連するので曖昧です。言葉の60%ぐらいは共通しており、お互いに話はできるようです。しかし、両者の歴史的関係はかなり複雑で、特にロシア革命以後の100年間は、両者の関係は決して良好ではありません。そういう意味で、プーチンの「歴史的に一体である」という発言は納得できません。次回は、この辺をもう少し詳しく説明します。