政治家に陳情する制度は必要である

森友問題には、3つの側面があります。
1)請願権という権利を侵害したという側面
2)財務省が犯罪を行ったという側面
3)マスコミが非常に下らなくなっているという側面

請願権という権利
現実社会で起きていることは、様々な細かい出来事が複雑に絡み合って一つの事実関係を形作っています。その事実を役所に対してうまく説明すれば、役所は適正に動いてくれます。

信号の設置という例でこのことを考えてみましょう。
自分の家の前の横断歩道は、わたる人が多いのに信号が設置されていません。ところがその一つ向こうの横断歩道は、わたる人が少ないのに信号が設置されました。

そこで私が市役所に掛け合ったところ、「最近信号がついた横断歩道は、交通事故が起きて人が死んだ。だから設置した」という回答がありました。しかし死亡事故があった横断歩道より私の家の前の横断歩道の方が、交通量が多いのです。市役所の判断はあまりに杓子定規です。

市役所に拒否された後、私には二つの方法が残されています。一つは市議会に請願する方法で、もう一つは政治家に陳情することです。

市議会に陳情するには、私が市議会に出向いて行って備え付けの用紙に「家の前の公団歩道は交通量が多いから、信号を設置してくれ」と書かなければなりません。どのような文章を書いたら説得力があるのかよく分からなかったので、私は、小学校の同級生で市会議員をやっている友人に陳情する方を選びました。その際に私は、彼に金銭はおろか手土産も渡さず、ただ電話で要件を伝えただけです。

友人の市会議員は、「具体的に死亡事故があったか否かより、どちらがより交通量が多くて危険かということの方を優先すべきだろう」と市役所に口を利いてくれました。市の職員はその道理に服し、私の家の前の横断歩道にも信号を設置してくれました。

私が古い友人である市会議員に陳情して市役所への口利きをお願いした結果、硬直した市の行政が正され、行政がまともになりました。政治家への陳情は、私と役所との間に政治家が連絡役として入っただけであり、広い意味で請願の一種です。

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