森友事件は、渦中の籠池さんが特異なキャラクターの持ち主であるために、話題に事欠きません。森友学園が経営する塚本幼稚園は、園児に教育勅語を教えていますが、従来これが特に問題になったことはなく、園児の親や近所の評判が良い幼稚園です。
ところがこれを問題視したのが朝日新聞で、教育勅語を教える右翼の幼稚園がある、というような報道をしました。これが森友学園と朝日新聞の因縁の始まりです。
教育勅語を簡単に説明します。明治23年、大日本帝国憲法の発布直後に発表されました。「朕惟フニ、我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ。我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ・・・」
教育勅語は大きく誤解されています。一般的には儒教精神を述べていると思われていますが、実際は日本伝統の神道の考え方で作られています。儒教は孝という道徳が圧倒的に重要ですが、この勅語は忠の方を孝より先に書いています。忠も良く誤解されていますが、君主に忠実であれというよりも、自分の役目を忠実に果たしなさい、という職業倫理の意味合いの方が強いです。
明治初期は文明開化の時代で、政府の幹部には日本の伝統文化を遅れた思想だと蔑む者が多くいました。しかし明治政府は、神道の思想に拠って成し遂げられた政権です。そこで政府は、西洋思想と日本の神道の思想に共通する考え方を教育勅語に盛り込みました。
教育勅語の内容は、西欧近代社会の考え方と矛盾するものではありません。この勅語は敗戦後のどさくさの時に廃止されましたが、その内容の合理性のゆえに今でもファンが大勢います。朝日新聞は教育勅語を嫌いなのでしょうが、これを尊重する者を変人扱いするというのは、教養のない証拠であると思います。
教育勅語を園児たちに教えることに賛成の政治家などが、森友学園を支援するようになりました。阿部総理もこの学園の教育方針に反対ではなかったようです。阿部夫人の昭恵さんは、籠池さんの強引さに負けて名誉園長を引き受けています。
このように、教育勅語、総理夫人、関西を地盤とする政治家などの役者がそろったので、朝日新聞は森友学園に目をつけました。